エラリアン:経済は良いが市場には試練

独Allianz首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏が、2日発表の10月の米雇用統計についてコメントしている。
経済は良いが市場には試練が増すと話している。


米経済はすばらしい状態だ。
FRB政策論議は複雑になる。
それは市場のボラティリティ上昇、上下動を意味する。

エラリアン氏がBloombergで、10月の米雇用統計を総括した。
米労働省が2日発表した雇用統計には米経済の強さが随所に現れている。

  • 非農業部門雇用者数: 250千人増(市場予想は190千人増)
  • 失業率: 3.7%(前月と同じ。1969年以来最低水準)
  • 平均時給(前年比): 3.1%増(前月は2.8%増、2009年4月以来の高水準)

「堅調な雇用統計は経済成長の加速だけでなく潜在成長率の上昇も示唆している。
労働参加率が上昇していることに注目したい。」

10月の労働参加率は62.9%と9月から0.2%ポイント上昇している。
これは、より多くの人が就業を希望していることを意味する。
労働者の供給が増える中でも失業率が歴史的低水準にあることは、いかに労働市場がタイトになっているかを示すものだ。
その影響は9年ぶりの高水準となった平均時給上昇率に表れている。


労働市場タイト化の主因は実体経済における需要が強いためであり、その背景には大規模財政刺激策や関税導入などの政策も強く影響している。
需要が強いことはいいことだが、物事には限度もある。
強い需要に応えるだけの国内の供給力がないと、経済には無理が出始める。

「これがFRBにおける政策の議論をさらに興味深いものにするだろう。
最大の注目点とは、経済にどれだけ『たるみ』が残っているかだからだ。」

供給力を形成する資源にはヒト・モノ・カネほかいろいろあるが、今米国ではヒトという資源が枯渇し始めている。
「たるみ」はほぼ解消され、供給力に伸びしろがないとなれば、内需を満たすのに輸入に頼らなければならなくなる。
輸入関税を導入し、移民をシャットアウトしているトランプ政権の元々の意図とは逆のことが起こる。
こうした弊害を取り払うため、FRBは金融引き締めを続けざるをえない。
政権や共和党の財政刺激策の持つ過大な効果をオフセットするためだ。

これが市場に大きな環境変化をもたらす。
FRBはリーマン危機後一貫して(すべて意図したかどうかはわからないが)市場の変動を抑え込むような政策をとってきた。
それが今逆転している。

これは市場のボラティリティを上昇させるだろう。
各国中央銀行は長い間私たちに与えてくれていたノイズ・キャンセラーをどんどん取り払っていくだろう。


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