ビル・グロス:TIPSに注意しろ

しばらく沈黙を続けてきたビル・グロス氏が久々にツイートしている。
米実質長期金利と米株価の関係を暗示したものだ。


過去数か月の物価連動国債(TIPS)利回りは40 bps上昇した。
(他の条件を一定とおいた)ゴードンの配当還元モデルによれば、これは10%の株式市場下落にあたる。
TIPSに注意しろ。
10年TIPS利回りは今1.07%だ。

グロス氏が31日ツイートした。
(参考: 浜町SCIでは米TIPS利回りの月次データを公表している。)

PIMCOを創業し、世界最大の債券ファンドに育て上げたグロス氏は、市場・メディアから債券王と称される偉大な投資家だ。
ところが、その債券王が、PIMCOを追い出されるように退社して以来、災難に見舞われている。

  • 長年連れ添った妻と離婚し、争いがメディアで書き立てられる。
  • 運用するJanus Henderson Global Unconstrained Bond Fundで米独スプレッド縮小に賭けるも実らず大幅な損失に。
  • 切手コレクションを売っても、運用成績が悪化しても、離婚などと絡めて面白おかしく書かれてしまう。
  • 同ファンドに投資している自己資金の一部を引き出したとの観測記事が報じられる。

こんな調子だから、グロス氏が沈黙に入っても意外性はなかった。
そのグロス氏が久しぶりにツイートをした。
前回は1月ほど前、米独スプレッドについてのツイートだった。
その前となると夏まで遡ることになる。

さて、今回のツイートに戻ろう。
グロス氏はTIPS利回り(実質金利)に注意しろと言っている。

米TIPS利回り(青)とS&P 500(赤)
米TIPS利回り(青)とS&P 500(赤)

TIPSの相場が反転して以降の米国株の調整がTIPS利回り上昇とともに起こっている。
実質金利(≒TIPS利回り)の上昇は経済の強さを反映し、株価にプラスとの文脈で語られることも多い。
《高インフレは株価にマイナスだが、高い実質金利は株価にプラスだ》といった具合だ。
しかし、最近に限っては、必ずしもそうなっていない。
株価に悪影響を及ぼすのは、少なくとも近時では、インフレ上昇だけでないとの観察を述べたものだろう。


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