ロバート・シラー:記憶と思考が不幸を再現する

資産価格の実証的研究で2013年ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授が、米住宅市場に変化が起こり始めていると話した。
こうした変化は数年後に急落をもたらす可能性があるという。


これは(米住宅市場が)弱まり始めたことを示している。
金融危機が始まった数年前の2005-06年を思い出させる。
当時も住宅価格の伸びが弱まり始めた。

シラー教授がYahoo Finance!で、上昇ペースがやや緩慢になった米住宅価格についてコメントした。
教授が2005-06年と言ったのは、こうした鈍化から急落までには意外と長い時間があるのが通例だからだ。

ケース・シラー住宅価格指数(20都市、青:指数、赤:前年比)
ケース・シラー住宅価格指数(20都市、青:指数、赤:前年比)

それにしても、米市場ウォッチャーの恐怖心はなかなかのものだ。
上のグラフ赤線の右端を見ればわかるように、近時を拡大すれば確かに下げてはいるが、少し長い期間をとって眺めれば取るに足りないようにも思える。
シラー教授も「状況を見届けたい。確信はない」といっている。
それでも、「弱まり始めたことを示している」と断定している。
株式市場の乱調が市場ウォッチャーの警戒心を高めているのであろう。


市場の転換点を言い当てるのは至難の業とシラー教授は言う。
株式市場ほどには難しくないとしながらも、住宅市場でもそれは当てはまるという。
それでも、2012年以降の一本調子の上げは警戒心を呼び起こす。
シラー教授は、リスク・シナリオを語るのをためらわない。

「少なくとも金融危機後『住宅市場は常に再び上昇する』との自己満足があった。
住宅市場は上昇し、いくつかの地点で史上最高値となり、もしかしたら反転の時なのかもしれない。」

シラー教授は、たとえ住宅市場の下落が起こったとしても、1890年以降で最悪だったサブプライム/リーマン危機ほど過酷なものにはならないだろうという。
大きな調整または弱気相場になる可能性もあるという。
一方で、そうした不幸が自己実現的に起こりうると示唆する発言もしている。

今、私たちはそれを繰り返そうとしているのかもしれない。
私たちにはその記憶があり、それについて考えているからだ。

危機は自己満足が蔓延する中でエネルギーを蓄える。
そして人々が口々に心配し始めると現実になるようなところがある。

シラー教授は、住宅市場の悪化が経済に波及する可能性を心配する。
「世界の終わり」ではないが「景気後退」はある程度の規則性をもって訪れるという。

「人々が悲観的になり、手を引き、買わなくなれば、建設の職が減り、次の景気後退のタネになってしまうかもしれない。
ところで、景気はいつ後退期に入ってもおかしくないほど続いている。」


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