ジェフリー・サックス:米大統領の殺人の歴史

コロンビア大学のジェフリー・サックス教授が、米大統領の血塗られた歴史を批判している。
1強による統治は行き過ぎを招くとし、議会による監視の必要性を訴えている。


アメリカ人はカショギ氏殺害を正しく恐怖に感じた。
しかし、私たち自身の政府の殺人者的やり方はちっとも違わないんだ。

サックス教授がProject Syndicateで米国の「殺人者的やり方」を強く非難している。
これはトランプ政権にだけ向けられたものではなく、共和党にだけ向けられたものでもなく、現在に至るまでの米政府に向けられた批判だ。
サウジアラビア人の記者ジャマル・カショギ氏は、イスタンブールのサウジアラビア総領事館で殺害された。
カショギ氏はサウジ政府を批判する記事を書いていた。
サウジアラビアと言えば、米国と近い関係にあるが、さすがにトランプ大統領もこのあからさまな暗殺劇を非難している。
サックス教授はアメリカ人に対し、他人を批判する前に自分の姿を見直せと説いているのだ。

「米大統領は長い殺人の歴史を有している。
と言っても現任のドナルド・トランプを困惑させることはあるまい。
彼が好む大統領アンドリュー・ジャクソンは冷血の殺人者、奴隷主、ネイティブ・アメリカンに対する民族浄化主義者だった。
ハリー・トルーマンについては、広島原爆こそ日本侵攻のコスト削減との言い訳がある。
しかし、長崎への2発目の原爆投下はまったく言い訳がなく、完全な官僚的勢いでなされたものだ:
どうも原爆投下がトルーマンの明示的な命令なしに実行されている。」


サックス教授の指摘は内政や戦争だけにとどまらない。
CIAによる外国での無数の暗殺についても向けられている。
こうした殺人が非難されるべきなのは言うまでもない。
しかし、教授が問題視するのはそれだけではない。
国家による殺人がなぜ起こるのか、その原因にも目を向けている。

政治科学者は次の仮説を検証すべきだ:
(米国のように)大統領や(サウジのように)憲法によらない君主によって統治されている国家は、議会と首相によって統治される国家よりも、殺人的な政治に特に陥りやすい。
議会が制約を与えてくれるという保証はないが、外交における1強の統治は、米国やサウジのように、大流血をほぼ保証してしまう。

サックス教授は、長崎原爆を大統領の命令なき原爆投下と指摘した。
サウジのムハンマド皇太子はカショギ氏殺害への関与を否定している。
それでも非道な殺害は起こった。
1強は本当に命じていないのか。
忖度の責任が1強にないと言い切れるのか。

サックス教授は1170年にカンタベリー大主教トマス・ベケットを死に追いやったヘンリー2世の言葉を紹介している。

「誰かこのうるさい聖職者をどこかにやってくれ。」


 - 政治 ,