レイ・ダリオ:消去法で残るものはほとんどない

ブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏が、投資先を見いだしがたい現状について解説している。
本来なら現金保有で解決できるはずが、問題はそう単純ではないのだという。


ET:「ウォール街の典型的な投資家からは、マクロに集中せず、(市場)サイクルの話をせず、人々の振る舞いやバリュエーションに集中するんだという話を聴きます。
良いビジネスを値踏みし長い間そこに居続けたいと願う純粋な長期投資家にとってサイクルの重要性とは何なのでしょう?」

ETが、ダリオ氏に鋭い質問を浴びせている。
ETの質問はウォーレン・バフェット氏などに代表されるバリュー投資家を念頭に置いたものだろう。
バフェット氏は、サイクルを超えて優れた銘柄を保有すれば儲かる確率が極めて高いと説く。
米市場が長期で見れば右肩上がりの市場だからだ。
また、どこのビジネス・スクールでもマーケット・タイミング戦略が持続的に成功しえないと教えている。
ダリオ氏は、このコンセプトに潜む非現実的な仮定を暴く。

「まず『良いビジネス』ってなんだ?
長い間には、ダウ平均構成銘柄や10、20、30年前のトップ企業などもはや良いビジネスではなくなっている。
世界は変化しており、『良いビジネス』に乗っかっていい思いなどできやしないんだ。」

ダリオ氏は、運用サイドだけでなく、調達サイドについても触れている。
無借金の企業・投資家ならサイクルを感じる度合いは小さいかもしれない。
しかし、資金を調達しそれで事業・投資を行うなら、サイクルからの強い影響を逃れえないはずという。
では、そのサイクルは今どこに来ているのだろう。


「1年前は待機資金が莫大に存在し、サイクルがまだ早い段階だった。
そこで私は株式等をロングすべきと話した。
一般論で言えば、現在はサイクルの終期で、株式について同じ考えではない。
株価は上昇し、債務も増え、株式に関する環境が変化した。
・・・
私が(2019年を)危険と言ったのは、短期債務サイクルの終期であるとともに長期債務サイクルの終盤であるためだ。」

景気循環と金融政策とともに繰り返す短期債務サイクルは終期にある。
景気拡大はピークに近づいている可能性があり、市場は景気後退入りを先取りして低下を始めるかもしれない。
長期債務サイクルはもっと深刻なものだ。
35年にわたる金利低下局面では、金利低下による資産価格上昇という恩恵があった。
このサイクルが本当に転換するなら、今後は趨勢的な金利上昇に資産価格が苦しむ番となる。
では、この二重苦の中で投資家は何を選択すべきなのか。

「私たちの選択はマネーだ。」

ダリオ氏は語るが、この選択は手放しでなされたものではない。
先進各国で債務が積み上がっているからだ。
米国では財源のともなわない大規模財政刺激策が講じられ、一方でFRBはバランスシートに抱えた米国債を減らし始めている。
市中に放出される米国債は増加すると見られている。
債券とはマネーを支払う約束を証券にしたものだ。
債券が供給過剰になれば、マネーにも供給過剰の心配が出てくる。
ダリオ氏は、ドルもユーロも円もリスキーだと話す。

消去法的な思考の中で、ダリオ氏は他の資産クラスと比較的異なる動きをしうる金に注目している。
ただし、それが解決してくれるのは全体の5-10%にすぎない。

現状は、そうしたマネーがあまり評価されず、資産の本質において株式と債券がある意味で同じ金融構造に紐づけされている状況なのかもしれない。
だから金は分散のための資産となりえ、ポートフォリオの5-10%取り入れるべきなんだ。
この部分はサイクルのさらに終期に上がるかもしれない。


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