ジェフリー・サックス:利益の利益による利益のための政治

コロンビア大学のジェフリー・サックス教授が、金権政治の蔓延を嘆いている。
中間選挙直前の今、アメリカ人だけでなく世界に向けて訴えかけている。


ドナルド・トランプ米大統領の社会保障や環境規制に対する排撃の一因は彼の無知とナルシシズムにある。
しかし、それ以外のことも示している:
米政治システムの腐敗だ。

サックス教授がProject Syndicateで米政治の腐敗を嘆いている。
教授は、金権政治が米国で勝利を収めつつあることに危機感を感じているのだ。

米政治は金持ちのための減税、環境汚染者のための規制緩和、その他の人々が被る戦争と地球温暖化によって、強大な企業の利益の、利益による、利益のための政治になってしまった。

サックス教授はトランプ大統領を兆しにすぎず、雑用係にすぎないと考えている。
陰の黒幕が共和党を操り、黒幕と共和党が大統領を操っている。
雑用係は共和党の考えを実現するために動いているのだ。
その考えとは:

  • 貧困層や労働者層のための政策を削減して富裕層のために減税する。
  • 外交のための費用を削減して軍事費を増やす。
  • 規制緩和の名のもとに環境破壊を許容する。

こうしたいかにも共和党らしい政策を確かにトランプ大統領は進めてきた。
ただし、一方でいかにも民主党らしい政策、通商交渉にも注力している点は無視できまい。
サックス教授は、反共和党の議論を展開しているから、そこは割愛したのであろう。


サックス教授もProject Syndicate(ソロス氏が支援するNPO)もプログレッシブ・リベラルであることは否めない。
(とは言っても、Project Syndicateには日本では保守である安倍首相や小池都知事も寄稿している。)
しかし、だからと言ってサックス教授を色眼鏡で見てはいけない。
サックス教授は最近、ビル・クリントン大統領が民主党に金権政治の文化を持ち込んだと厳しく批判している。
もう1つ誤解してはいけないことがある。
共和党やトランプ大統領は米国民の考えを代表しているとは言えない点だ。

「こうした優先順位はほとんどの米国民の中で共有されているものではなく、それとは程遠いものだ。
過半数は金持ちに税を課すべき、医療保険の範囲を広げるべき、米国は戦争をやめるべき、地球温暖化と戦うべきと考えている。
トランプたちは公衆の意見を攻撃しているのであって代表しているのではない。
彼らはある理由でこれをやっている: カネだ。」

企業や富豪が表・裏のカネを駆使して政治を買っている。
さらに、プロ・ビジネスとの美名のもとに関係省庁・議会の重要ポストに各産業のインサイダーが就いてしまった。
経済振興の名のもとに減税を、規制緩和の名のもとに環境汚染の許容を行っているという。
サックス教授は世界と米国に訴える。

今こそ米国以外の世界は、米企業の底なしの貪欲にNoと言うべきだ。
そして、アメリカ人自身は民主的制度の再建を求め、ダーク・マネーとそれを生み出す企業の悪意を取り除くべきだ。
米国も世界ももっと良くなるはずだ。


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