ガンドラック:株と債券が逆に動かない

新債券王ことDoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が、金利上昇への危機感に再び言及した。
株と債券の逆相関が崩れており、分散投資のメリットが得にくくなっているという。


S&P 500は終値ベースで高値から6.5%低下した。
米国債利回りは引けベースで4 bpsしか低下していない。
『リスク・パリティ』戦略にとっては良くないように見える。

ガンドラック氏が23日ツイートした。
リスク・パリティ戦略では、投資ポートフォリオを資産クラスごとに分け、それぞれのトランシェのリスク量が等量になるよう調整する。
たとえば、株式と債券からなるポートフォリオでは、株式のリスクが高まった場合、株式を減らし債券を増やすことになる。
リスク量の基準は投資家ごとに選定しており、ポピュラーなものにはボラティリティ(≒σリスク)などがある。
そういうファンドでは、ボラティリティが上昇すると(ボラティリティとは上下対称の動きであるのに)株式を売却することになる。
過去数回の米市場の調整では、こうした動きが下落を主導したとの指摘がなされ、主にヘッジ・ファンドが主犯とされることもあった。

しかし、σリスクをリスク指標とするのはヘッジ・ファンドだけではない。
シャープ・レシオを重視する投資信託は少なくないから、そうした投資信託も犯人グループに入れることは不可能ではない。
しかし、程度においてははるかに軽微だ。
ヘッジ・ファンドであれそれ以外の投資信託であれ、投資ホライズンの長いファンドであれば、パニック売りのようなことを引き起こすことはない。
リスク量の基準となるボラティリティの期間も長くとるべきだからだ。
長期投資のファンドが、足元の1-2週間のボラティリティ上昇をリスク量として用いる理屈はない。
もう少し長い期間でのボラティリティをとれば、リスク量の上昇ははるかに軽微で、したがって売却金額は小さくなる。
それどころか、リスク量の上昇が小幅で株価が大幅に下落すれば、逆に買い増す理由にさえなるのだ。
レイ・ダリオ氏は以前、オール・ウェザー戦略には市場を安定化させる性質があると主張したが、この点をさしたものだ。


犯人かどうかは別として、短期的に見ればリスク・パリティ戦略がパフォーマンスを上げていないのは事実だ。
ボラティリティが上昇し株価が下落したので、株を減らし債券を増やした。
債券が買われて金利が低下し、債券にキャピタル・ゲインが出てほしいのだが、その幅が小さい。
ガンドラック氏は多くを語っていないが、これには理由がある。
アスワス・ダモダラン教授モハメド・エラリアン氏ら多くの人が指摘してきたように、資産クラス間の相関関係が変化しているのだ。
レイ・ダリオ氏は、強烈な非伝統的金融緩和が超低金利と過小なリスク・プレミアムを生んだとし、金融機能が麻痺したと表現した。
金融政策正常化とともにこの麻痺がとれ、それと同時にほとんどの資産クラスが夢から覚めつつある。
つまり、同時に価格低下が起こりつつある。

こうした危機的な状況で、ガンドラック氏は《いい金利上昇論》を退けているのだ。

金利が『正しい理由』で上げているだって?
ちょっと待ってくれ。
住宅建築会社のCEO、自動車メーカーのCEO、金融会社のCEOに聞いてみてくれ。


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