デニス・ガートマン:原油高は有害

コモディティ王デニス・ガートマン氏が、原油高の及ぼす良い影響・悪い影響について解説している。
偽善を交えることなく率直に語っているところが印象的だ。


全体で見れば、高い原油価格は常にどこのいかなる経済にとっても有害なものだ。
合理的な価格はどこか。
WTIで1バレル55-60ドルなら、生産者も儲かって幸せ、消費者も暮らしていけて幸せだろう。
しかし、1バレル85-90ドルとなると世界中の人にとって有害だ。

コモディティ王が原油価格上昇の善し悪しについてMoneyShowで総括した。
石油の使い手である消費者や家計が原油高で被害を受けるのは明らかだ。
では、供給者が恩恵を受けるかといえば、一部にとどまるという。
エネルギー産業のどこまでが恩恵を受けうるのかはクラック・スプレッドによるのだという。
クラック・スプレッドとは、原油と精製された石油の価格差のことだ。
原油が上がれば精製プロセスでの利ざやが圧迫されてしまう。

WTI原油価格
WTI原油価格


米国で物価上昇に対する感じ方が少し変化しつつあるようだ。
物価上昇を無条件に望む声が小さくなり、警戒する声が大きくなってきた。
とりわけ、物価上昇を良い物価上昇・悪い物価上昇に分け、コスト・プッシュ型の物価上昇を嫌う論調が増えてきた。
原油高はその最たるものだろう。

ガートマン氏は原油高でもシェール産業について慎重だ。
原油高がシェール産業を成長産業にする点を認めつつ、シェール産業自身に賭けるのではなく、その周辺産業に注目すべきという。
ガートマン氏は1849年のゴールド・ラッシュを思い出せという。

「同じことをやればいい。
選鉱鍋を売ったり、リーバイスを売ったり、ラバを売ったり。
探鉱者でも計画者でもなく、選鉱鍋メーカーなど1849年の探鉱者にモノを供給する人たちがいた。
シェール関連でも同じことをやればいい。
砂やパイプラインの供給者につくんだ。」

中東の産油国は恩恵を受けるのではないか。
ガートマン氏は恩恵が著しく偏在している点を指摘している。
このため、米国の資本市場や人々の生活への望ましい波及効果は考えにくいという。
むしろ、米国の人々は消費者として被害を受ける側だ。
そして、中東社会自体にとっても好ましいものとは言いがたいという。

中東社会とは本質的に階級社会であり、お金は決して社会の第2・第3の階層まで滴り落ちない。
常に王族、拡大する王族、イランではイスラム革命防衛隊とその宗派のところにとどまり、幅広い人民には行きわたらない。
だから、原油価格上昇の恩恵なんて全くないんだ。


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