グリーンスパン:4-5%のインフレでの物価統制

アラン・グリーンスパン元FRB議長が、スタグフレーションの危機を警告した。
財政悪化と緩和的金融環境の組み合わせがインフレと名目金利を押し上げ、インフレが政治を不安定化するという。


1630年代まで遡って現在の政策と似た時代を調べると、人類の本性が変わったか単なる騙しに過ぎないのでない限り、現在はスタグフレーションに向かっていると考えられる。

グリーンスパン氏がCNBCで話した。
今月上梓した新著『Capitalism in America: A History』(アマゾン)のPRを兼ねた出演だ。

同氏によれば、こうした経済環境では名目金利こそ上昇しても実質金利が上昇するとは限らないという。
名目金利の上昇が経済成長によるものではなく、インフレによるものにとどまってしまいかねないためだ。
現在は、グリーンスパン氏の経験上「最も逼迫した労働市場」であるとし、金利が上昇しても賃金・物価が追随してしまう可能性が高いと指摘した。
賃金上昇はそれが生産性の向上によるものであるかぎり悪いことではない(いいことだ)。
生産性の向上分賃金が上昇するかぎり、それは値上げではない。
しかし、現状はそうなっていない。

「生産性の向上は年1.25-1.50%と極めて鈍い。
過去はこの倍以上の向上が見られていた。
これはGDP成長率に大きな影響を与え、さらに最終的にはポピュリズムのタネとなって米国や欧州ほかを蝕む。」


このスタグフレーションを生み出す一因となるのが政府債務だ。
グリーンスパン氏は、米国の債務対GDP比率があと数年で平時の最大に達する可能性が高いと指摘した。

社会保障改革はマスト

この責任はトランプ政権にもあろうが、以前から問題は明らかだった。
社会保障費の増大が避けられない状況だからだ。

「年金の一部と国内総貯蓄の和の対GDP比は驚くほど一定に推移している。
この和の構成要素は逆の動きを示し、これは片方がもう片方をクラウディング・アウトしていることを示唆している。
問題は、政府が年金を変えているのか、市場が順応しているのかだ。
証拠が示すのは、年金は見通しに従い、法に従って与えられ、決してパターンが変わらないということ。
国内総貯蓄対GDP比率が次第に低下する中、米国はすでに対外債務を8兆ドルまで積み上げてきた。」

人々が必要とするお金は決まっており、それを公的年金と貯蓄で共に負担し合ってきた実態をグリーンスパン氏はCNBCで説明した。
貯蓄が(対GDP比で)減るのなら年金が増えなければ困るのだが、政府の財政も悪化の一途をたどっている。

「答はやらなければいけないということだ。
本で指摘したとおり、同じかよりひどい問題を抱えていた10年ほど前のスウェーデンにならい、年金の増加率をこれまで説明してきたより大きく減じる必要がある。」

グリーンスパン氏によれば、スウェーデンが年金負担の問題から抜け出せた理由は、確定給付システムから確定拠出システムに移行したためだという。
確定給付の場合、年金会計の赤字は政府の負担となるが、確定拠出であれば赤字は発生せず、受給者が受け取る年金額が減ることになる。
政府の負担は一次的には減ることになる。
(移行にともない生活保護が増えれば、その限りではない。)

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