ジェレミー・シーゲル:サイクルと投資

ウォートンの魔術師ジェレミー・シーゲル教授が、ウォートン校からのインタビューに応えている。
足元の経済・投資環境から投資の秘訣まで幅広く語っている。


今回(の下げ)は通常の調整だ。
市場は少し先走り過ぎた。

シーゲル教授が先週の市場急落を解説した。
では、市場は何に対する「調整」を行ったのか。
教授の答は、よく言われているように金利上昇である。
今年はすばらしい企業収益の年だったが、それは正しく市場に織り込まれていた。
しかし、金利上昇の可能性についてはそうではなかった。

「2018年の企業収益の良いニュースは市場に織り込み済みで、金利上昇の恐怖はまだだった。」

投資家が考えたこと

教授は、投資家サイドに起こった考えの変化を生々しく語る。

「ついに米10年債がサイクル後の高水準領域に入ると、みんな騒ぎ出した。
『おお、90日Tビル、3か月利回りが2.5%になった。』
FRBは12月と来年3回利上げすると言っている。
そうなれば短期金利は3%を超える。
久しぶりに、株の利益が貯蓄預金を上回っているかチェックしなければいけなくなった。
これまで考えなくてもそうだったんだ。」


長らく株式リターンはおろかインフレ率より低く抑えられてきた預金金利がインフレ率を上回るようになるかもしれない。
そうなれば、投資家のうちダウンサイド・リスクを嫌がる人たちも預金を見直すだろう。
これまでは預金金利がインフレを下回っていたために、預金を持つことは購買力の喪失に他ならなかった。
ましてや、一本調子で上げてきた株式のリターンと比べると、投資としての預金の魅力はほとんど感じられなかった。

債券・預金の金利が上昇しても、米国株に対する《永遠のブル》の考えは変わらない。
今四半期は試練が続くとしながらも、長期ならば米国株だという。

(米国株市場は長期的には)インフレ調整後で7-7.5%から6-7%のリターンを予想している。
これは債券よりはるかにいい。

FRBが利上げを急ぐワケ

長期では株式がよさそうでも、短期ではやはり金利上昇がリスクだ。
シーゲル教授は、今回の小幅に終わったように見える株価下落でFRBがスタンスを変えることはないと見る。
むしろ、FRBはインフレを予防するために先回りして利上げすべきと説明する。

「(FRBが引き締めすぎだという)こういう人たちはインフレの『白目が見えるまで撃つな』(とても近くまで近づくまで撃つな)と言う。
このアプローチの問題は、金融政策には即効性はなく効果が出るまで数か月あることだ。
もしも待って、ついに2.5%以上になってしまうと、利上げしても手遅れになってしまうんだ。
ミルトン・フリードマンは、不幸なことに金融政策の実際の効果が得られるには6-12か月かかり、価格に働きかけるには12-18か月かかると言った。」

インフレの恐ろしさを知っている世代からすれば、インフレはリスクでないとする議論はあまりにも無責任に映るのだろう。

(次ページ: サイクルと投資)


ページ: (1) (2)

 - 海外経済, 投資 , , ,