佐々木融氏:もう一段の円安も

JPモルガンの佐々木融氏が、足元で円高の進みにくい理由を3つ挙げ、さらなる円安もありうると予想している。
資本フロー、貿易収支、日米金利差が円安側に振れているのだという。


数年前までのドル円相場なら、早朝から1円くらい円高に振れていてもおかしくないニュースだ。

佐々木氏が15日、Reutersへの寄稿で書いている。
ムニューシン米財務長官が日本との貿易交渉で為替条項の導入を求める意向と話したことに対し、ドル円がほとんど反応しなかったことへのコメントだ。
今回のコラムは、なぜ円高が進みにくくなっているのかについて書かれている。

佐々木氏は、円が決して高いとは言えない状況を説明する。
過去20年間での物価上昇は、米国が50%、日本が横ばい。
長期的な為替決定要因が物価上昇率の差であるとするなら、ドル円は大幅な円高でもいいはずなのに、20年前と同じ水準にある。

「米ドルの対円に対する価値の低下がドル円相場に反映されていないのである。
米財務省も指摘しているように、円の実質実効レートは過去20年間の平均に比べて20─25%程度割安な水準にある。」

一見円高に動きやすい環境のように見えてそうなっていない。
それはなぜなのか、佐々木氏は3点理由を挙げる:

  • 対外投資フロー: 特に対外直接投資が増勢。
  • 貿易収支の悪化: エネルギー価格の上昇が効いている。
  • 日米長期金利差拡大

こうした要因分析から、佐々木氏はドル円相場をこう予想する。

資本フロー、貿易収支、日米金利差の組み合わせに鑑みると、対米ドルでもう一段の円安があってもおかしくないと言える状況かもしれない。

なお、貿易収支の悪化に関連し、佐々木氏は興味深い見解を滑り込ませているので、紹介しておこう。

「JPモルガンは、12年11月の衆議院解散前後から始まったアベノミクスで急速に進んだ円安の主因は、貿易収支の急激な悪化であった可能性もあると考えている。」

佐々木氏はこれを「可能性」と書いているが、当の日銀はこれを支持する分析を公表済みである。


 - 国内経済, 投資 ,