マーク・ファーバー:これをクラッシュとは呼ばない

スイス人著名投資家マーク・ファーバー氏が、先週の世界同時株安についてコメントした。
最近のファーバー氏はかつてほど危機到来説を声高に叫ばなくなり、それがむしろ不気味な印象を与えている。


「まだこれをクラッシュとは呼ばない。
クラッシュが起きた一例は1987年で、ダウ平均は1日だけで21%下落した。
米市場はピークから現在まで7%下げたが、S&Pは2009年の666から現在の2,900まで上げた後なのだから、これはないも同じ。
今回の調整はたいして重大なものでないが、これから重大なものになるかもしれない。」

終末博士の異名をとるファーバー氏が印ETで余裕を見せた。
先週の世界株式市場の急落など、とるに足りないものだとし、要因を2つ挙げた。

  • 各国中央銀行が資産買入れを減らし、緩やかな金利上昇を容認したため、流動性拡大のペースが鈍化している。
  • トランプ政権が米中摩擦をエスカレートさせている。

ファーバー氏は、米国にとって中国は2つの顔を持つ交渉相手であることを認識すべきという。
最大の貿易相手国という顔と、その結果(FRBを除けば)最大の米国債保有国という顔だ。

中国を攻撃し、貿易戦争だけでなく、米国の最大の貿易相手国であり米国の資産・債券・株式・もちろん不動産の大口の買い手である中国と対立するのは本当に悪いアイデアだ。
このアイデアが世界中の金融市場を混乱させ、下方に調整している。

米国債が買われている

ファーバー氏は、最近の新興国通貨安について2つの要因を挙げている。

  • 新興国でドル建てでの資金調達が多く、利払いのためのドル需要が大きい。
  • 世界の投資家が手持ちの現金・債券を用いて米国債を買っている。
    新興国通貨・債券だけでなく、低金利の欧州債券も敬遠されている。

米国債の投資妙味については、中期ゾーンあたりの金利上昇が進んできたことが大きいのだろう。
ついにインフレ率を超える年限が出てきており、他の経済での水面下の実質金利と比べると魅力的に見えてもおかしくない。


「ドルは欧州の通貨・債券と比べて利回りの点で相対的に魅力的だ。
(ドルは)通貨としては特に魅力的ではない。
いくつかの新興国経済は前回の危機や1997-98年(アジア通貨危機)に比べてはるかに金融環境が良好だからだ。」

インド・ルピーは長期下落へ

ファーバー氏は以前、インド・ルピーが売られすぎにあり、短期的な戻りを予想したことがあった。
しかし、それは短期的な可能性にすぎないという。

「長期的なトレンドを言えば、インド・ルピーは下落方向だ。
・・・
私が考えているタイムフレームは、今後数年で毎年5-10%の下落というものだ。」

財政赤字・経常赤字の双子の赤字を抱えるインドは二者択一の選択を迫られているとファーバー氏は言う。

  • 通貨防衛のために大幅な利上げを行う。
    しかし、利上げは経済を鈍化させる。
  • 通貨安を容認する。

ファーバー氏は後者が選択されると予想する。
目先のことに囚われがちな大衆からの受けがいいからだ。

「私がいつもラグラム・ラジャン前RBI総裁を称賛してきた理由は簡単で、彼が対主要通貨でルピーを安定させることを目的としていたからだ。
それなのにインド金融セクターは一貫して、金融引き締めを続けたラジャン氏を非難した。
当然ながら、金融引き締めはルピー相場にはプラスだが、株式市場にとっては良くない。
結果、金融セクターは何を手にしたのか。
バブルになった株式市場だ。」

通貨安によって経済や市場を持ち上げる政策がすべて誤りではないものの、時として愚かな結果を招くことがある。
大きめの通貨安を容認してしまうと、現地通貨建てで多少の経済成長があったところで、GDPの価値は縮小してしまいがちだ。
例えば、ドル建てや購買力平価で見たGDPが縮小してしまうなどが起こりうる。
つまり、経済が改善したように見えても、その実は物差しの目盛りが縮んでいるだけなのかもしれないのだ。
同じことが株式市場にも言える。
インドの場合、これが目下のバブル的な株価上昇を無意味なものにしてしまっているようだ。

ドル建てで見れば、インド株式市場は2015年から上がっていないんだ。
株式市場は今年1月にドル建てでピーク・アウトし、下落している。


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