バイロン・ウィーン:好景気予想の本当のワケ

Blackstoneのバイロン・ウィーン氏が、2021年まで景気後退はないとする予想の根拠を明かしている。
これまで言及してきた景気先行指標の他に、やや心配な根拠が隠されていた。


「毎年9月に米市場は調整するが、今年の9月はかなりいい月になった。
だから10月に調整を迎えたのだろう。
これは上昇の前の調整であり、中間選挙後に市場は上昇すると考えている。」

ウィーン氏がウェブキャストで先週の米市場急落を解説した。
1946年以降、中間選挙後の12か月間で必ずS&P 500が上昇してきたファクトを示し、このアノマリーは今回も実現すると予想した。
米経済についても従前予想どおり2021年まで景気後退はないと話した。
景気先行指標に景気後退を示すものがないのがその根拠だが、それ以外にも明るいとは言えない根拠があるようだ。

米国には景気後退を迎える余裕はない。
景気後退入りしてしまえば、そこから抜け出す手段がない。
・・・
財政刺激・金融緩和ができないため、米国は可能なかぎり何が何でも景気後退入りを回避しようとあらゆる政策を繰り出すことになろう。

これが根拠と言えるのかどうかは感じ方次第だろうが、この予想が実現する可能性は高い。
FRBは着実に金融政策の正常化を進めているが、伝統的な金融政策の時代と比べれば、いまだに極めて緩和的な政策が継続している。
かつては景気後退期の利下げ幅として5%程度を要していたが、現在のFF金利誘導目標はわずか2.00-2.25%でしかない。
財政政策に至ってはさらにマージンがない。
景気が回復した後になってトランプ政権は大規模財政刺激策を打った。
法人税を考えうる最低ラインまで引き下げ、財政支出も増やしている。
米国債利回りには上昇の兆しが見える。
これ以上の大幅な財政悪化には共和党も首を縦に振らないだろう。


だから、現在の景気の腰を折らないよう、政権はやれることをやってくる。
2020年は大統領選挙の年だから、死なばもろともと将来の国家破綻をもたらすようなことでもやってくるかもしれない。
そうして2020年を切り抜けたとしても、景気後退はいつかやってくる。
伸びきった政策をさらに無理に引き伸ばせば、その後はどうなるのか。
常に健全な楽観を忘れないウィーン氏だが、今後は厳しい見方が増えるのかもしれない。

「来年は、連邦政府の社会保障、州の分の両方で積立不足の債務が積み上がっている点について話をすることになるだろう。
とんでもない債務が存在している。
それら債務とその一部が期限を迎えること、さらに流動性が減少していくことが、投資家の思考に浸透していき、良くないムードを作り出すかもしれない。」

これは債務者たる米国側の話にすぎない。
債務には債務者だけでなく、債権者も存在する。
そして、米国は今その債権者に対してケンカを売っている。
奇妙なことに全体の7割超を保有する3大債権者に対してあまねくケンカを売っている。

「米国債には3つの大口投資家がいる: FRB、中国、日本だ。
だからこそ、関税政策は慎重に行う必要がある。
中国・日本が(米国に対し)敵対的になれば、彼らには米国債を買うのをやめるという反撃法があるからだ。
それを示す証拠がある。
中・日は2018年前半、2017年前半と比べてはるかに少ない米国債しか買っていないんだ。」


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