ガンドラック:金利上昇に関するまやかし

新債券王ことDoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が、金利上昇でも株価に悪影響はないとする議論を批判している。
同氏はそうした議論が先例を無視する暴論だと示唆している。


『金利はしかるべき理由で上昇している』
とは
『金利上昇はプラスだ』
を意味する暗号文だ。

ガンドラック氏が12日ツイートした。
金利上昇に関して広く流布されている詭弁について解説したものだ。
たとえば11日のThe New York Timesの記事「金利はすべてしかるべき理由で上昇している」では、金利上昇が経済の長期的方向性にとっては良いニュースだと論じている。
あまり中身のない記事なのだが、金利上昇がいいものという主張は多くの人にとって喜ばしいものなのかもしれない。

ガンドラック氏は暗号の解読を進める。

『金利上昇はプラスだ』
とはまた
『this time it’s different』(今回は違う)
を意味する暗号文だ。

つまり、《金利上昇には理由がある》という議論は《金利上昇はいいこと》という議論であり、《今回は前例とは異なり金利上昇が禍をもたらさない》という結論を導くとガンドラック氏は指摘しているのだ。
《今回は違う》は、投資の世界では十中八九、単なる詭弁・まやかしにすぎない。
ガンドラック氏のツイートは、セルサイドの大半を始めとする、何がなんでも株価下落を否定したい市場関係者の姿勢への痛烈な批判であろう。


《金利上昇はいいこと》という議論にはいくつかすり替えが存在する。
米経済における現状並みの金利上昇は社会にとってはいいことも多いのだろう。
すでに名目成長率は4%を大きく超えており、長期金利が3%を超えたところで高すぎる金利とは言えない。
むしろ、経済が回復したのに経済の実勢より低い金利を続ければ、経済における資本配分が歪む可能性がある。
これが、経済構造の最適化を阻めば、経済の将来にとってマイナスとなるかもしれない。
こうしたプラス・マイナスは、長期的には投資家も共有するものだろう。

ただし、このプラス・マイナスについてはホライズンに注意すべきだ。
上記で論じた社会・投資にとっていいこととは、あくまで長期の話でしかない。
短期では多くの場合、痛みが走ることになる。
それなのに強気派は《金利上昇はいいこと》と強弁する。
金利上昇は経済の強さを反映したものだからだというのが彼らの論拠である。
しかし、それは多くの場合、誤りかウソにすぎない。

ジェレミー・シーゲル教授は株価の性質を説明するために、株価を分数に喩える。
分数の分子は企業収益、分母は金利(正確にはリスク・プレミアムを加えた資本コスト)であるとする。
株価とは企業収益を金利(資本コスト)で割り引いたものなのだ。
以下、この単純なモデルで金利の効果を検証しよう。

(次ページ: 「いい金利上昇」の条件)


ページ: (1) (2)

 - 海外経済, 国内経済, 投資 ,