エラリアン:ベースとリスクは分けて考えろ

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独Allianz首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏が、10日の米市場下落について解説している。
米経済は依然好調で、リスクは多いにしても、過度に悲観すべき状態ではないという。


米経済は、高度を上げている最中にエンジンを取り換えようとしている飛行機のようなものだ。
これまでは流動性主導の市場だったが、今ファンダメンタルズ主導の市場に変化しつつある。
これは長期的にはいいニュースだが、短期的には多くの混乱が避けられない。

エラリアン氏がCNBCで米経済・市場の変容を予想した。
米経済・市場の主たるドライバーが、金融緩和のもたらす市場流動性からファンダメンタルズへと変化しようとしているという。
これは、当局が支配・操作する経済・市場が自由化されるのに似ている。
自由化、自由経済、自由市場は総じていいことだが、そこに行きつく過程はつらいことが多い。
特に現在の世界経済の状況はこれを難しくする。

「ファンダメンタルズは単純ではない。
先進国経済の間で大きな成長率・政策のダイバージェンスが存在する。
だから(今回の株価下落も)驚きではない。」


世界経済の強弱や各国政策にばらつきがあるため、市場の急変につながる可能性がある。
エラリアン氏は270 bpsにも開いた米独長期金利差を例に挙げた。
極めて大きな差があるのに、縮小するどころか拡大することさえある。
さまざまな格差が、市場に多くのストレスを与えているという。

本来なら下に引っ張られてもいいはずの米長期金利だが、エラリアン氏は

  • 一本調子ではないが債券利回りは上昇
  • イールド・カーブはスティープ化

を予想している。
理由として、経済・政策のダイバージェンスとともに、市場参加者の変化を挙げている。

「これは政策・経済だけでなく、長期債の民間以外の買い手に起こっていることとも完全に擦り合っている。
彼らはゆっくりと撤退しており、影響力が弱くなっている。」

エラリアン氏は足元の市場を悲観しているわけではない。
リスク要因が多く存在するのを認めながらも、ベース・シナリオとリスク・シナリオは分けて考えるべきと釘を刺す。
そして、ベース・シナリオの中ですでに「すごいこと」が米国に起きていると分析する。
現在の経済成長は単に財政刺激策のみによるものではなく、家計所得や企業投資の改善も寄与していると指摘。
国内の3つのエンジンが同時回復しており、これが今年・来年続くと予想する。
だから、足元の米経済に心配はいらない。
問題は2年後だ。

その後は現実の成長と潜在成長にバトン・タッチしなければならない。


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