ロバート・シラー:熱狂と自己満足の時代

資産価格の実証的研究で2013年ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授が、米市場の『熱狂』と『自己満足』を指摘した。
市場は良いニュースにばかり目を向け、都合の悪い事実には注意を払わなくなっているという。


これはFRBの政策だけによるものではなく、現在見られる一般的な消費者信頼感の強さによるものだ。
この数年、特にトランプ政権になってから、米経済は強く見える。
現在は『熱狂』の時間に入ったのだと思う。

『根拠なき熱狂』の著書でも有名なシラー教授がCNBCで、現状を『熱狂』と『自己満足』と形容した。
何が正常でないのかと言えば、金利上昇を織り込もうとしない点だ。

「4%を超える手堅いGDP成長率を上げている。
みんなこれが続くと外挿し、金利を心配していない。」

市場を知り尽くした行動経済学者は市場心理を解説する。
『自己満足』とはある意味『注意を払わない』ことだという。
年初からの市場の心配事は財政刺激策がもたらした経済過熱だった。
経済過熱がインフレを押し上げ、それが利上げ・金利上昇を招くとの懸念だった。
しかし、それもカバノー最高裁判事のゴタゴタなどで忘れられてしまう。
みんなインフレにも金利上昇にも無頓着になっている。


新債券王ジェフリー・ガンドラック氏は、月初からの長期金利上昇が始まる前、同様の市場心理を指摘している。
今回はメディアが心配しておらず、金利上昇しやすい環境になっていると分析した。
その分析どおり、長期金利・超長期金利は上抜けたのだ。
ガンドラック氏はまた、金利上昇の悪影響を過小評価するウソを信じるなとも言っている。

『注意を払わない』ことで実現している自己満足、自信、熱狂は、注意を払った時に終わるはず。
シラー教授は冷静に市場の経験則を語る。

「こうした『自己満足』や自信といったものは脆弱だ。
過去、こうした自信は不思議な形で突き崩され、市場を調整入りさせてきた。」

シラー教授は米住宅価格についてもコメントしている。
いくつか心配はあるものの、米住宅市場が分岐点に差し掛かったとはまだ考えていないという。

S&Pケース・シラー住宅価格指数(20都市)
S&Pケース・シラー住宅価格指数(20都市)

住宅価格は、シアトル、ニューヨーク、ボストンなど数都市で上昇が鈍化しているものの、全国ベースではまだかなりいいペースで上昇しているという。
足元の住宅価格鈍化について興味深い解釈を披露している。

この弱さは、信じられないかもしれないが、いくらか貿易戦争と関係しているのだろう。
中国その他の投資家は住宅価格を押し上げてきたが、今は止んでいる。


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