アインホーン:テスラはリーマンに似ている

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Greenlight Capitalのデービッド・アインホーン氏が、再び厳しい四半期を総括した。
Apple投資からエグジットしたことを明かしたほか、テスラをリーマン・ブラザーズに似ていると書いている。


「前四半期は再び厳しい結果となった。
9.1%のロスとなり、グリーンライトのファンドは年初来で25.7%のロスとなった。」

アインホーン氏が顧客向けレターで明かした。
1/4のロスとは資金流出の話ではない。
基準価格の話だから深刻だ。
第2四半期のS&P 500指数は+7.7%だったから、アインホーン氏のベットが間違っている、あるいは実っていないことを示している。
しかし、アインホーン氏の自信は揺らいでいない。

「私たちは投資先のファンダメンタルズについて深く理解しており、市場の誤解を認識している。
投資先企業に対する仮説のほとんどは今も有効だ。
強気相場が10年近く続いていることを考えれば、私たちのロング・ポジションは絶対的にとても割安で、ショート・ポジションは信じられないぐらい割高だ。」

市場が正気を取り戻しグリーンライトについて来るまで、方針を変えるつもりはないようだ。

その中で、大きな変化が8月末にあった。
ポートフォリオで最大の構成比を占めていたApple株の残りを売り切ったのだ。
2010年に調整後原価36ドルで取得した同株を228ドルで売却し、複利26%のリターンを上げたという。
アインホーン氏は、大成功を収めたApple投資でも初めは理解されなかったと苦労話を書いている。
当時も今も我慢のしどころと言いたいのだろう。

今回Appleからのエグジットを選んだ理由は次の通りだ:

  • イノベーションが続くとの仮説が市場のコンセンサスになった。
  • 予想PER 17倍は魅力が薄くなった。
  • 米中貿易摩擦の影響を懸念。

もっとも本音のところでは、止まらない資金流出への対応という意味もあったのかもしれない。
投資家からの資金引き出し要請に対し、実った投資を崩すというのはありうる話だ。


ショート・ポジションについては、やはりテスラを挙げて実りが近いとほのめかしている。
テスラはリーマン・ブラザーズそっくりなのだという。
アインホーン氏はリーマンをショートした際の仮説を紹介している。
すでに1998年にはリーマンが破綻に近かったというのだ。

私たちの主たる洞察の1つは、リーマンが1998年にクレジット・クランチに直面しており、うまくいっていると言い張り、その話題を逸らそうとしているということだった。
実際には、1998年に規制上、法律上、あるいは市場のプロセスによって破綻し現実を認めることにはならなかった。
事業が持ち直すとリーマンは名声を取り戻した。
自信を持った経営陣は次の2007-08年のクレジット・クランチの間さらに積極的になってしまった。
リーマンはショート・セラーを脅しつけ、資本調達を拒絶し(自社株買いまで行い)、経営者は公に未公開化を示唆した。
数か月後、株主・債権者・従業員・世界経済は大きなつけを払わされることとなった。
経営陣の向こう見ずな態度が倒産につながったのだ。

テスラについては、イーロン・マスク会長兼CEOが資金調達の裏づけのないまま未公開化をツイートしたことがSECの捜査対象、民事訴訟に発展した。
SECとの間では、マスク氏と会社がそれぞれ罰金20百万ドルを支払い、マスク氏が会長を辞任することで合意した(CEOは継続)。
その舌の根も乾かないうちにマスクCEOは無反省を露呈するようなツイートを連発している。

「SEC(ショートセラー儲けさせ委員会)には目覚ましい仕事をしてほしいものだ。
この名称変更も素晴らしいだろ!」

「ブラックロックのようなインデックス運用者は、『パッシブ』インデックス投資として低率の手数料をとっているふりをしながら、貸株で過剰な利益をポケットに入れているんだ。」

あろうことか、ショート・セラーに貸株をしているという理由でロングの投資家まで批判しているのだ。
もはや、自分に不都合な者はすべて悪なのである。
南ア出身の名物経営者だが、その気質や行動様式はとても米大統領に近い。


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