ジェフリー・サックス:1914年や1930年代の前に似ている

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コロンビア大学のジェフリー・サックス教授が、米政治の劣化を心配している。
現在の政治状況は、1914年や1930年代に向かう時代に似ているのだという。


もしも私たちがゼロサムの闘いに勝つためでなく共通の利益のための政治を手に入れたらどうなるだろう。
そうした政治は素人くさく聞こえるかもしれない。
しかし、私が好きな哲学者アリストテレスは2000年以上前、政治とは共通の利益にかかわるものと言ったんだ。
私はそれが実現することを願っている。

サックス教授がProject Syndicateの座談会で語った。
教授の思いはあたかもマーティン・ルーサー・キングJr牧師の言葉を彷彿とさせる。
その願いはとても素朴で根源的なものだ。
それだけ米政治は危険な淵に立っているのだろう。

多くのアメリカ人が政治を信じていない。
政治不信を抱えた人たちが、よりいかがわしい政治家を支持してしまっている。
サックス教授は共和・民主両党に責任があると厳しい。

ビル・クリントン大統領は民主党をウォール街と結びつけ、金融規制緩和の時代を主導した。
ニューディール以来、民主党は弱い者のための党だったのに、突然エスタブリッシュメント、あるいは少なくとも一部のエスタブリッシュメントのための党になってしまった。
共和党は石油・ガス・軍事産業と、民主党はウォール街とヘルスケア産業と結びついている。

民主党を変質させたビル・クリントン大統領。
クリントン夫妻は在職中から世界を駆け回り、政治資金集めを続けていた。
その資金を使って今度は妻が大統領の座を狙ったのだ。
多くの国民がこれに嫌悪感を抱いたのも無理はない。
金にまみれた民主党がむざむざと大統領の座を共和党に献上したのである。

『問題を解決する』ために選ばれた男は典型的な利権まみれの人物で、米政治システムがかつて大統領にまで押し上げたことのない最大の泥棒政治家、いかがわしい人物だ。


プログレッシブ・リベラルからすれば最悪の展開だ。
サックス教授は将来の暗さ・不確実さを心配する。
その典型は米中経済摩擦だ。
この構図は2度の世界大戦前と似たところがある。
新興国家と覇権国家の反目である。

中国の台頭とそれに対する米国土安全保障省の誤った対応によって、1914年や1930年代に向かう時代とよく似た展開をするのではないかと心配している。
大災害が避けられないと言っているのではなく、用心しなければそうなってしまうと言っているんだ。

サックス教授は「素人くさく聞こえるかもしれない」と言った。
市場のプロたちは、どうやら米中摩擦について概ね楽観しているようだ。
両国ともエスカレートすれば利益を損なうことを知っているはずと口々に言う。
では、2回の大戦前に生きた人たちは、今の私たちと比べて、大きく劣っていたのだろうか。
今の私たちが優れているとするなら、なぜ先進各国でこうもポピュリストたちが力を得ていくのだろう。
米中ともに核を保有する中で、核にどれだけの抑止力があるのだろう。
過度に悲観すべきではなかろうが、楽観もすべきではない。
楽観すれば、Uターンするまで時間がかかってしまう。

将来を心配しながらも、サックス教授は希望を捨てたわけではない。
度を過ぎた体たらくがアメリカ人の目を覚ましつつあるのだ。

「政治が帰ってきた。
これは小さなことではない。
たくさんの人が、リスクもリターンも大きいこと、トランプが単なる道化ではなくダーク・フォースの発現であることを正しく理解している。
すべての犯罪性、国際システムを踏みにじる行為が、本当に危険なものであることを表している。」

サックス教授は2015年に合意された「2つの重要な考え」に希望をつないでいる。

2つの世界協定、『持続可能な開発目標』と『パリ気候協定』が将来への最大の希望だ。
・・・
今こそかつてないほどに良識の政治が必要とされている。


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