榊原英資教授:ドル円は105-110円のレンジ相場へ

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ミスター円こと青山学院大学 榊原英資教授が、ドル円相場やアジア経済について語った。
ドル円は来年初にかけてレンジを切り下げ105-110円になると予想している。


「(現在は)円安というよりドル高だ・・・
今は110-115円レンジ相場で、115円を超えることはないだろう。」

榊原教授が1日のBSテレ東の番組で語った。
ドル円がレンジ相場に落ち着いていると解説し、足元のドル高の要因を3つ挙げた:

  • トランプ政権の財政刺激策で米経済成長率が3%にまで上昇。
  • 世界経済が若干混乱し、リスク・オフで円が買われている。

こう現状を説明した上で、今後の方向性については円高を予想している。

来年初めには110円を切る円高になるのではないか。
110-115円のレンジが5円円高に振れて105-110円になるのではないか。
その後は・・・場合によると100円を目指す展開になるかもしれない。

海外メディアに対する歯切れのよい予想と比べると、ややおとなしめの表現になっているが、方向性は同じ円高方向だ。
榊原教授は理由を2つ挙げる:

  • 米経済がどこかでピーク・アウトする。
  • トランプ大統領が円高を望んでいる。

教授は中期でも円高を予想している。

為替介入の可能性については、そもそも介入には日米間の合意が必要と説明した。
100円前後では米国がYesと言うことはなく、合意できるとすれば90円を切るような円高の場合だろうと話した。

リ・オリエント

榊原教授は、世界が今「百年に1度の転換点」、「リ・オリエント」を迎えつつあるという。
世界経済の中心が再びアジアに戻って来始めているのだという。


「1820年の統計では、世界のGDPの45%は中国とインドだった。
19世紀からさらにさかのぼると中国とインドのシェアは増す。
19世紀後半からは中国とインドは植民地になってしまう。
それで没落し、欧米の世界になる。
21世紀に入って再び中国とインドが台頭してきている。
今や購買力平価で言えば中国の方が米国よりGDPは大きくなっている。
2050年の推計では(中国が1位)インドが2位となり、アメリカは3位に後退する。
・・・インドは2040年前後には米国を抜く可能性がある。」

榊原教授は今世紀半ばまでに再び中国とインドが世界の大国として台頭してくると予想する。
現在の米中経済摩擦にはこうした大きな超長期的変化の背景があり、短期的に決着はつかないだろういう。
教授は、中国が台頭するのは「歴史の必然」と言い切る。

「人口は多く、1人あたりGDPはまだ低いので、相当な勢い、少なくとも6-7%で成長していく。
米国はうまくいっても2-3%だ。」

ただし、榊原教授は、米中摩擦がとりかえしのつかないほどエスカレートするとも考えていない。
そうなれば両国にとって不利益でしかないことは理解されているとし、すでに水面下の交渉が進んでいるはずという。

「日米関係よりも米中関係の方が実は水面下では深い。
・・・米中関係は中長期的には良くなるだろう。」

アジア危機再発の懸念は小さい

1990年代終わりのアジア危機の再発について、榊原教授は、可能性は低いと分析する。
現在の新興国不安においてもアジアの新興国は影響を受けていないとし、要因を2点挙げた:

  • アジア諸国は大きな外貨準備を有している。
  • 中国は資本流出規制を実施している。

「1995年に米国が強いドル政策、利上げをした時には、2-3年後にアジア危機に発展した。
今回はアジアは危機的な状況にならないだろう。」

米中間選挙については民主党が下院で過半数をとるとの予想が優勢だ。
しかし、榊原教授は、最近トランプ大統領の人気が上がっていることを指摘し、共和党が下院もとる可能性を無視できないと話した。
そうなればねじれ現象を回避でき、経済にもプラスに働くという。


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