ロバート・シラー:戦いは毎回違う形になる

Project Syndicateがリーマン危機から10年を迎え金融危機についての座談会を開催している。
バブル研究の権威ロバート・シラー教授の発言をいくつか紹介しよう。


問題は、こうした危機は理解するのが難しいことなんだ。
これは人の心理と関係していて、みんなも知っているように心理学は厳密な科学ではないんだ。

なんと率直な表明であろうか。
行動経済学とは言ってみれば経済学と心理学のハイブリッド。
行動経済学者として、自身の分野を厳密でないと公言できる。
この率直な姿勢がかえってシラー教授に対する信頼感を高めている。

人間の賢さと愚かさ
「人々は何かに集中した時とても賢くなることができる。
しかし、神様は何に集中すべきかを教えてはくれない。
だから2008年に至るまで人々はほとんど(住宅バブルに)注意を払っていなかった。」

最近の米市場では、貿易摩擦などのダウンサイド・リスクを資産価格に織り込まないような楽観が見られ始めている。


銀行システムは強化されたが
「将軍はいつも前回と同じやり方で戦争を戦いたがる。
しかし、戦いは毎回違う形になる傾向がある。
金融危機はいつも銀行危機に根差したものになるわけではない。
大恐慌でさえ銀行危機から始まったものではなかった。」

金融危機の発生は金融規制強化だけで回避できるものではない。
多くの市場関係者が、次の問題はノンバンクから発生すると予想している。
シラー教授は株式市場のクラッシュなど他にも火種は転がっているという。
大恐慌もスタートは株式市場の大暴落だった。

何が金融危機を引き起こすのか

必要なのは、私たちの自信がいくらか揺らぐことだけなんだ。
・・・銀行は(リーマン危機)以前の危機では破綻していないことを知っているかい?
リーマン・ブラザーズは大恐慌を生き抜いたのに、それより小さなイベントだったグレート・リセッションで消し飛んでしまった。

金融危機が起こらない理由がいくつもあっても、人々が集中していないところには危機の火種があるのかもしれない。
以前と同じタイプの危機が起こるのを防げたとしても、次に起こる危機は異なる形の危機かもしれない。
個々の経済主体に対する金融危機の破壊力は、その危機の全体としての深刻度にきれいに比例するものではない。
だから金融危機はまた起こりうるとシラー教授は言っている。


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