米ドル離れが始まる!?

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EUは24日イランとの間で新たな決済システムを構築すると発表した。
米国が一方的にイラン核合意から離脱し、対イラン制裁を再開したことに対する対処である。

「これはEU加盟国が法人を設立しイランとの合法な金融取引を推進しようというものだ。
これにより欧州企業はEUの法律に則りイランと取引を継続でき、世界の他のパートナーに対し道を開くことができる。」


EU外交安全保障政策上級代表Federica Mogherini氏が宣言した。
米トランプ政権からの圧力に屈する欧州企業が後を絶たない。
独フォルクスワーゲン、アディダス、BASF、ダイムラー、仏トタル、PSA、エールフランス・・・
トランプ大統領はイランと取引をする企業は米国から締め出すとさえ言っている。
EUの24日の発表はイラン核合意を維持し、その要素であるイランとの商取引を維持しようというものだ。
そのためにドルでなくユーロでの決済を担う「法人」が予定されている。

「これは地域と世界の平和と安全を大きく損なうものだ。
イランの収入を支えれば、テロを支援するイランを力づけることになる。」

これはポンペオ米国務長官によるEU批判だ。
この決済システムは金融の問題であると同時に高度な外交問題なのだ。

コロンビア大学のジェフリー・サックス教授は、トランプ政権の政策が米ドルの基軸通貨としての地位を揺らがせていると批判している。
その批判の中で教授は、基軸通貨の3つのメリットを説明した。


  • 自国通貨建て資金調達
  • 金融ビジネス
  • 世界での金融規制

今回のEUとの軋轢は3点目にかかわるものだ。
世界の国際取引の多くが米ドルを介してなされており、その通貨を支配している米国は国際金融の要所を握っている。
米国がNoと言えば、特定の国のドル決済が滞る。
米国はまさに今イランにそれをやっているが、EUはそれに逆にNoと言っている。
こうした離反はドルの地位を揺るがし、その地位が揺らげば残りの2つのメリットも揺らぐ。

BlackRockのラリー・フィンクCEOと欧州の顧客との会話をCNBCが伝えている。
米国の振る舞いが、米国以外の企業を中国に向かわせているという。
米国の孤立化が進めば、長い間には米ドルは準備通貨としての地位を失うだろうという。

BloombergはJP Morganのマルコ・コラノビッチ氏の「米政権が進める単独主義、貿易戦争、制裁は友好国、敵対国の両方に影響をますます広げている」との指摘を紹介している。
「世界の残りの国々はドルやドル中心の金融のリスクを回避し、多様化するべきなのではないかとの疑問が生じている」として「長期的な脱ドル化」を予想した。

ジム・ロジャーズ氏も最近「みんなワシントンの権力を嫌い、ワシントンから離れ、ドルから離れる方法を模索している」と話している。

ピーター・シフ氏はロシア国営RTで今回のEUの動きについてコメントしている。

驚きはない。
世界は米国が米ドルを武器と位置付けることがないよう脱ドル化を進めようとしているんだ。
これらすべてのことは結局は米国に降りかかってくることなんだ。


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