ロバート・シラー:いつか終わりが

資産価格の実証的研究で2013年ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授が、米国株市場で進む株高を分析した。
1920年代の好況・強気相場とその後の大恐慌・大暴落を挙げ、心理に押し上げられた市場の脆弱性を説いている。


「1929年5-9月のわずか数か月で株式市場は30%超も上昇した。
この間(市場は)ギャンブルのように見えた。
『ギャンブルしている』という言葉がその時期によく使われていた。」

シラー教授がCNBCで大恐慌に至る「狂騒の1920年」を振り返った。
1920年代は極端なプロ・ビジネスの大統領カルビン・クーリッジ(1923–29年)の下、米経済・市場が長期拡大を遂げた時代だ。
しかし、もちろん《山高ければ谷深し》だったし、その山さえギャンブルにすぎなかった。

1920-34年のダウ平均
1920-34年のダウ平均

「このため(市場は)脆弱になった。
それと全く同じかどうかはわからないが、2009年以降米市場は上昇している。」


1929年、クーリッジ退任後しばらくして米市場は大暴落し、経済は大恐慌へと突入する。
ただし、シラー教授はメディアの誘いにはのらない。
あくまで冷静に話す。

「弱気相場の方がありそうだ。
それなら20%の下落だ。
私は過度に劇的なことは予想しない。
人は往々にして異常なことを予想する傾向がある。」

シラー教授は、1929年が米株式市場の歴史上最悪の例であることを挙げ、そこまでのことは起こらないだろうと予想している。
しかし、それは安心を意味しない。
今年1月末からの調整を市場はなんなく消化したように見えるからだ。
もっと売れというナラティブ(物語)に進行してもよかったはずが、そうはならなかった。
シラー教授は1920年代と似たような原因が存在すると考えている。
「アニマル・スピリット」であり「熱狂」といった心理的な原因だ。

「私は何か『トランプ物語』とでも言うべきものが私たちの思考に作用しているように思う。
大統領選挙以来、資本主義とかリスク・テイクを促すようなホワイト・ハウスのロール・モデルが市場だけでなく米経済全体に影響していると思う。
それが米国株市場を世界一高い市場にしたんだ。」

シラー教授は、株高の原因をファンダメンタルズだけでなく心理的なものと考えている。
だからこそ教授の心配はなくならない。
人々の心理は、実体のある原因なしにも変化しうるからだ。

狂騒の1920年代、人々は驚くべき、信じられない時代と考えていた。
1990年代終わりのドットコム・バブルでも似たような物語が市場を押し上げた。
こうした物語のすべては永遠には続かず、いつか終わりになるんだ。


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