エラリアン:貿易相手国は譲歩する

独Allianz首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏が、トランプ大統領の反グローバリズムについて解説した。
米国の通商交渉はいずれ世界により公正な自由貿易をもたらすだろうと楽観している。


「諸外国に向けて2つの明確なメッセージを発した。
1つ目は、米政権が国際貿易関係をとても真剣に再定義し、今後も公正な世界貿易、自由だが公正な貿易のための譲歩を得ようとすること。
2つ目は、米経済が外国経済よりも好調で、今後もそうあり続けるということだ。
諸外国はそれぞれ成長戦略を講ずるべきで、さもないと大きな試練が待ち受けているだろう。」

25日のトランプ大統領の国連での演説内容について、エラリアン氏がFox Businessで解説した。
この演説については世界中の多くのメディアが、トランプ大統領がグローバリズムを否定したと批判的に報じている。
トランプ大統領が在任2年の成果を誇示した時に失笑が起こったことは多くのニュース番組も取り上げている。
しかし、保守系メディアの筆頭格Foxの見方は少々違う。
米国がやっているのは公正な自由貿易のための措置なのだという。

エラリアン氏は貿易摩擦について心配していないという。
最終的には相手国(メキシコ・韓国・カナダ・中国)が米国にとって有利な譲歩をすると予想しているからだ。
株式市場が好調なのはそれを見通しているためとエラリアン氏は解釈している。
エラリアン氏はハッピー・エンドとなる理由をこう語る。

「もう1つの選択肢である貿易戦争はもっと苦しいものになる。
・・・
(米中摩擦は)やり合いが続き、やがて中国は知的財産権や合弁について譲歩することが自国の利益になると理解するはずだ。」


今回の貿易摩擦はおそらく米国のゴネドクになるのだろう。
いまだ米国の経済力・軍事力は群を抜いており、中国と言えども覇権を奪い取るのは不可能だからだ。
しかし、このマインド・セットは危険だ。
戦争をしかれば他国は言うことをきくはずという論理だからだ。

もちろん中国を含むほとんどの国には程度の差こそあれ不公正な通商慣行があるのは事実だ。
それは日米欧も例外ではない。
だから、程度の差を埋めることは大切だし、中国は多くを譲る必要がある。
世界第二の経済、購買力平価で言えば世界最大の経済がいつまでも途上国のような政策を続けてはいけない。
立派な国になったのだから。

エラリアン氏はFRBの金融政策についてもコメントしている。
FRBが利上げすべき3つの理由を語った。

  • 米経済は現状・見通しともに好調
  • FRBの使命達成が近い
  • 外国を無視することが正当化されている

特に2点目、FRBのデュアル・マンデート(物価と雇用)が達成されつつあることは重大なポイントだという。
市場はこの点に注目し利上げ期待を強めたとし、来年も利上げが続くと織り込んでいると解説する。
それほど米経済が好調というわけだ。

「米経済は3%、3.2%、3.3%程度の賃金上昇は容易に吸収できる。
忘れてはいけないのは、重要なのは単なる成長ではなく、総括的な成長だ。
より多くの人が恩恵を受けられるようにすることだ。」

エラリアン氏は、米国と諸外国の間のダイバージェンス(差の拡大)を心配する。
今後も経済、金融政策、株式市場のパフォーマンスでダイバージェンスが進む可能性があり、これが金利や為替に影響を及ぼす可能性があると警告した。


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