ロバート・シラー:関税なしで労働者を守れ

ロバート・シラー教授が、トランプ大統領の仕掛ける貿易摩擦と批判し、代替案を模索するよう呼び掛けている。
以前公表したコラムの一部を変えて自ら語りかけている。


「第2次世界大戦、特に1947年のGATT設立以来ずっとアメリカ合衆国、その政府と国民は、一貫して公正に自由貿易を支持してきた。
しかし、かなりの少数、最近ではアメリカ人の39%がドナルド・トランプ米大統領の他国への関税導入を支持したことで、トランプは潮目が変わり、実行後には反対者も賛成に回ると考えているようだ。」

シラー教授がProject SyndicateとYouTubeの場で自ら米市民に語りかけている。

超一流の行動経済学者はやみくもに自由貿易の経済理論を振りかざすのではない。
(そうすればますます反感を生み、トランプ大統領の思うつぼだろう。)
まず、賛成する人たちの気持ちを理解しようとする。
なぜ、保護貿易に賛成する人が少数とは言え39%も存在するのか。
シラー教授の仮説は2点だ。

  • 一番の理由は、自由貿易がしばしば生み出す雇用の不安。
  • 失業した時に感じる不公平感。

教授は割りを食った労働者の心のうちを代弁する。


「ほとんどの人は慈悲を受けたいのではなく、仕事がしたいんだ。
だから、アメリカ人は『Make America Great Again』を喜び、バラク・オバマ前大統領の『富を広める』を嫌がるんだ。」

アメリカ人は再配分、福祉といったコンセプトが嫌いなのだ。
逆に言えば、これらの同類ととられないやり方で割りを食う人たちを救うことができれば、彼らはもう一度自由貿易を支持するようになるかもしれない。
シラー教授は、この目的にかなう「現物支給」的な施策の先例を紹介する:

  • 公教育全体を補助
    これならみんなが恩恵を受けることができる。
    恩恵を受けることは卑しいことでなく愛国的なことと受け取られるだろう。
  • 民間の生活保険補助
    自由貿易による失業者を助けるため、労働者が自らかける失業対策保険に補助金を出す。
    補助は失業しないうちに行われ、再配分の持つ悪印象は少ない。
    また、キャリア形成におけるリスク・テイクをしやすくする。

トランプの貿易戦争は国際的な悲劇だ。
しかし、自由貿易が人々に課すリスクを私たちが認識し、彼らを助ける保険メカニズムを改善するならば、ハッピー・エンディングもありうるだろう。


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