クルーグマン:景気後退は遠くない

利上げしておくべきか

「違うよ。
これは利下げの余地を稼ぐために利上げを急ぐ理由にはならない。
インフレが大いに高まるまで利上げしてはいけない理由なんだ。
ビュッフェ危機が到来するまでに3-4%のインフレに到達することを祈ろう。」


何を言いたいのかと言えば、インフレを高めておけば、結局、名目FF金利をゼロまで引き下げざるをえなくなった時、実質FF金利をより低くできるという話なのだ。
しかし、この主張には1つ大きな欠陥がある。
今、FF金利を引き上げておけば、インフレは高まらないだろうが、将来の利下げ余地は大きくなる。
すると、ゼロ金利まで利下げした時により多くのリフレ効果が得られる。
結局、今利上げして将来大きく利下げしても、今利上げせず将来小さく利下げしても、ゼロ金利下でのインフレ率はたいして変わらない可能性がある。
(中立金利と政策金利の位置関係という静学的な見方だけでは金融緩和の効果は測れないかもしれない。)
この点を割り引いて考えるべきだ。

日本へのとばっちり

日本人がもう1つ注意すべきは、この景気後退前後で進行した円高だ。
米国が景気後退入りし、失業率がなかなか下がらないとなれば、通商政策へのお門違いな不満はますます高まっていくだろう。


米失業率(左、青)、実効FF金利(左、赤)とドル円(右、緑)
米失業率(左、青)、実効FF金利(左、赤)とドル円(右、緑)

特に注意したいのは1993年以降の部分。
米失業率が下げに転じ、FRBも利上げに動いたのに、為替は円高ドル安に動いている。
日米金利差が拡大する中で進んだ円高ドル安だった。
アーカンソーの田舎から来た大統領が円高ドル安を求めたことで起こったものだ。
現大統領も似たことを行っている。
ビル・クリントンは民主党の大統領だった。
ポピュリズム的な風潮が強まる中では、誰が勝とうがこうした可能性を無視すべきではないだろう。

複合不況はいつ?

クルーグマン教授は、最後にみんなが一番知りたがっている点を自問している。

いつ起こるかって?
実際、私もわからない。
でも、最大でも数年のうちに起こらないとしたら、本当に不思議なことだ。


ページ: (1) (2)

 - 海外経済 ,