海外経済

クルーグマン:景気後退は遠くない
2018年9月25日

ポール・クルーグマン教授が、次の景気後退の特徴を占っている。
次の景気後退は短く浅いものになると予想されるが、それでも社会が被る傷は癒えにくくなるだろうという。


おそらく次の景気後退は1つの大きなショックによってではなく、いくつかの小さなショックが組み合わさって引き起こされるのだろう。
プライベート・エクイティの債務から新興国市場まで、おそらく間違いなくいくつかの中規模のバブルが発生している。
株式は不吉な貿易戦争にもかかわらずリスクがないかのような株価にあり、消費者信頼感も同様に危険を割り引いてとらえているようだ。

クルーグマン教授がThe New York Timesのコラムで書いている。
教授はビュッフェのような景気後退になるとし、1990年代初頭の景気後退が先例になると指摘している。
ボルカー・ショック(1979-82年)、ドットコム・バブル崩壊(2001年)、住宅バブル崩壊(2007-09年)とは異なり、明確なナラティブ(物語)を持たない景気後退になるというのだ。

米国の複合不況

クルーグマン教授は1990年代初頭の米国での複合不況の要素をいくつか並べている。

  • S&L危機と関連した商業用不動産市場の暴落
  • 原油高騰と湾岸戦争がもたらした消費者信頼感の悪化
  • 冷戦後の軍事費削減

比較的小粒な材料がいくつか組み合わさって比較的浅い景気後退を迎えた。
ところが、雇用の回復には長い時間がかかったのである。
なぜ複合不況が予想されるのかについて、クルーグマン教授はハイマン・ミンスキーの考えを引用している。

長い安定成長の後には、借り手も投資家も自己満足に陥り、民間部門は行き過ぎてしまう。

政策対応の余地のない景気後退

クルーグマン教授によれば、仮にこの心配が実現すると、労働市場の回復は1990年代初頭よりもいっそうもたつくだろうという。
すでに金融政策が伸びきったに近い状態で景気後退を迎える公算が大きいからだ。

米失業率(左、青)と実効FF金利(右、赤)
米失業率(左、青)と実効FF金利(右、赤)

1990年に景気後退が始まる前、米政策金利は8%だったが、この利下げサイクルでは3%まで引き下げられている。
景気後退は1991年までとされているが、失業率は1992年まで上昇を続け、利下げも同年まで続いた。
しかし、現在のFF金利誘導目標は1.75-2.00%でしかない。
ゼロ金利制約を考えれば、利下げ余地は高々2%だ。

(次ページ: 日本へのとばっちり)


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