レイ・ダリオ:次の問題は米債と米ドル

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ブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏が、起こりうる次の危機とその主役について語った。
次の景気後退では米債と米ドルの下落が懸念されるという。


次の景気後退が心配だ。
すぐに景気後退入りするとは予想していない。
・・・あと2年くらいあるかもしれないがわからない。

ダリオ氏がBusiness Insiderに語った。

景気・市場サイクルの7つの局面

ダリオ氏は近著『Big Debt Crises』の中で、景気・市場サイクルの7つ段階を説明している。

  1. 初期: 債務によって生産性や所得が生み出され、債務返済は順調、資産価格は上昇などすべてがすばらしい。
  2. バブル期: 資産価格が上昇し、みんな上昇が続くと思い込み、借金をしてレバレッジを高めてしまう。
    債務拡大が持続できないところまで来ると次の段階に移行する。
  3. ピーク期: 中央銀行が金融引き締めでブレーキを踏む。
  4. 不況期: 景気・市場が縮小する。
    ゼロ金利制約により通常の金融政策が効かなくなり量的緩和が実施される。
  5. 美しい正常化期: 持続不可能なまでに膨らんだレバレッジの巻き戻しがソフトに進む。
  6. 「暖簾に腕押し」期: 中央銀行の金融政策の効果が逓減し、発揮されなくなる。
  7. 正常化期

サイクルを読むための4点

ダリオ氏はサイクルを読むために投資家は次の4点に注目すべきという。

  • 経済の供給力の余裕: 供給制約は発生していないか。
  • 金融政策: 緩和か引き締めか。
  • 市場心理: 熱狂は起こっていないか。
  • 資産価格: 資産価格が織り込んでいる債務拡大や金利は現実的か。

ダリオ氏は現在を9イニングの景気拡大の7イニングぐらいのところと考えている。
これはおそらく上記の7段階で言えばピーク期に近いバブル期にあたるのだろう。
ダリオ氏は現在の経済・市場環境を次のように要約している:


  • 金融政策が引き締められる。
  • 供給制約により経済成長が頭打ちになる。
  • 金利が上昇傾向を示し、もしもイールド・カーブに織り込まれているより速く上昇すると資産価格に悪影響が及ぶ。
  • 資産価格は金利水準からいってかなり目いっぱいまで評価されている。

1930年代との類似

ダリオ氏は、現在が1930年代と酷似しているとの持論を繰り返す。

「米国のこの100年の歴史で金利がゼロまで下がった債務危機は2度しかない。
両方のケースで中央銀行は量的緩和を余儀なくされ・・・金融資産を買い入れた。
両方のケースで金融資産の価格は上昇し(経済は)回復した。
しかし、同時に金利はゼロまたはゼロ近傍まで低下し、それが世界中で起こっていることだ。」

米3か月Tビル金利
米3か月Tビル金利

確かにゼロ金利が再来したことだけでも大きな類似なのかもしれない。
将来がどうなるかは誰にも予想できないにしても、ごく自然な連想として、過去60年と似たことが繰り返すのではないかと思う人がいてもおかしくない。

(次ページ: ドルのショート・スクイーズとドル高)


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