ブル

 

インフレはハイパーでなくとも要注意

この10年デフレこそが最大のリスクと言い続けてきた米国でも、インフレへの懸念が高まっている。
QEがハイパーインフレの引き金を引くといった大げさすぎるものではなく、地味だが胸に刺さる懸念が語られ始めている。


「この重商主義の傾向、言い換えればすべての仕事を国内でやり、貿易を最小限にしようという傾向は、振り子を逆に振らせる可能性がある。
振り子はこれまでグローバリゼーション、生産性向上、価格低下に寄与してきたが、これが逆に振れようとしている。
債券市場は心配し始めているが、株式市場はまだ無頓着だ。」

Cresset Wealth AdvisorsのJack Ablin氏はCNBCで、米インフレが趨勢的にトレンドを変える可能性があると話した。
自由貿易は生産性向上とコスト低下を通じて世界経済に寄与してきたが、同時に特に先進国経済においてリフレ圧力となってきた。
本気かポーズかはわからないが、トランプ政権が始めた貿易戦争は、振り子を逆に振らそうとしている。

「すべての生産拠点を国内に戻し、賃金は貿易相手国の10倍、部品も国産を買えというトレンド、それが政策でそう扱えというなら、それはそれでいい。
しかし、それはコスト上昇・生産性低下として跳ね返ってくることを認識すべきだ。」

トランプ政権は意図しているか否かは別として、関税を増やし、インフレ圧力を増やしている。
インフレ圧力は同時に金利にも上昇要因となる。
アルビン氏は、金利上昇が緩やかな場合の市場への影響を試算する。


「利回りはいわゆるフェアな水準、10年ものなら4-5%の間まで上昇するだろう。
実際にそうなれば、株価は8-10%ほど低下するだろう。」

しかし、これは決してアルビン氏のベース・ケースではない。
インフレが上昇し始めると、FRBは昂進を予防するために金利をオーバーシュートさせざるをえなくなると予想しているのだ。
これが株式にとってさらに向かい風になる。
アルビン氏は決して1970年代のような高インフレが再発すると予想しているのではない。

私はインフレ暴走を心配しているわけではない。
私たちは1970年代終わりと80年代にそれを脱している。
しかし、インフレの暴走を予防するために積極的な金利政策が必要になる。

米国で3%のインフレ、2%の(実質)潜在成長率が定着する時が来れば、中立的な名目長期金利は5%程度だろう。
もしも国民が3%のインフレを高すぎると感じれば、FRBは金融引き締めを考えざるをえなくなる。
それは、長期金利を5%超にすることを示唆する。
今より長期金利を2%上昇させることであり、経済・市場へのインパクトは大きい。
特に、景気を急冷するに十分な幅であろう。
つまり、インフレはさほど高くなくても経済をオーバーキルしうるのだ。

インフレと金利の上昇を予想するアルビン氏は、ロング/ショート戦略を組んだという。
MLPをロングし、REITをショートしている。
REITの割高感は過去最高水準であり、ショート側は特に有望だとコメントした。


 - 海外経済, 投資 ,