エラリアン:危機回避に1年半をかけた

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独Allianz首席経済アドバイザーMohamed El-Erian氏が、好調な米経済の現状とリスク・シナリオを確認した。
サブプライム/リーマン危機前を回顧し、PIMCOでの危機への備えの実際を明かしている。


「PIMCOはリスク軽減が早すぎたんだ。
でもそれでかえってよかった。
金融市場で過剰が見られたためだ。」

エラリアン氏がBloombergで、珍しくPIMCOのCEOを務めていた時代を口にした。
同氏とPIMCOはサブプライム/リーマン危機において卓越した危機対応を実行したことで有名だ。

「市場下落では、経済はいいのに人々が先走ったために下落し始めることが多い。
このケースでは特に住宅市場でトレンドが立ち上がっていた。
ビル・グロス、スコット・サイモン、ダン・アイバシンの指揮の下、MBSディーラーからの聞き取りをさせ、何が起こっているのかを調べさせたんだ。」

撤退に1年半をかける

エラリアン氏と言えば、メディアでの露出などではエコノミスト、ストラテジストの印象が強い。
しかし、この人は同時に(当時)世界一の債券ファンドの経営者としても優れた業績を残している。
債券王ビル・グロスという創業者、大スターを同僚・部下とするなど難しさを抱えつつ、組織を巧妙に操ったのだ。


住宅、MBS、仕組み商品の市場に異変を感じ取ると、エラリアン氏は市場を壊さないスピードで関連投資から撤退した。

「過剰なリスク・テイク、無責任なリスク・テイクは驚くべきものだった。
もしもドミノが倒れ始めたらどこまでどう感染するかを考え、危機の1年半前からリスク軽減を始めたんだ。」

世界一の債券ファンドが一気にある市場から逃げるわけにはいかない。
仮にそうすれば、それが市場の崩壊を生み、リスク軽減にならないからだ。

リスク資産のドミノ倒しが始まった

エラリアン氏は、今新興国市場で起こっていることを解説する。
起点はリーマン危機後の金融政策にあり、今後も伝染しながら続く可能性があるという。

「莫大な資本がより脆弱な資産クラスに押し込まれている。
引き込まれたのではなく、押し込んだんだ。
米国の低金利のためだ。」

ついに米経済は回復した。
金融政策はUターンを始め、それが資産市場に影響を及ぼしている。

「デレバレッジが起こり、順々に事が起こっている。
(いっぺんに起こっていないのは)いいことだ。
一番脆弱な新興国市場が先に苦しんでいる。
徐々により脆弱でない市場に移っていく。」

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