レイ・ダリオ:ドルは簡単に30%下げうる

Bridgewater AssociatesのRay Dalio氏は、次の景気後退期ドル危機が起こりうると予想した。
このまま政策を誤れば、ドル相場は簡単に30%下げうるという。


「景況感がいいというのは将来を指し示す指標ではない。
バブルは熱狂を生み、みんなすばらしいと感じるものだ。」

ダリオ氏はBloombergで、雰囲気に流されてしまう市場心理を警告した。
日々メディアでは弱気相場入りの時期にかかわる報道が続く。
米経済は絶好調、米市場は最高値圏にある中、弱気派は時にキワモノ扱いをされる。
《経済・市場が絶好調の中で何を言っているんだ》といった具合だ。
ヘッジ・ファンドの帝王ダリオ氏にしても同じこと。
そうした情緒的な突っ込みに対し、ダリオ氏は過去のバブル期を思い起こすよう促している。

ダリオ氏は次の景気後退期が1937-40年と似たものになるだろうと話す。

今回の景気後退は2008年とはかなり違ってくるだろう。
・・・前回のように急激・過酷なものになるのではなく、だらだら続くようなものになるだろう。
・・・債務危機というよりはドル危機になるだろう。

学界におけるバブルの専門家 ロバート・シラー教授は以前、今回の強気相場がリーマン危機とは異なる市場心理にあり、スパイラルな下げの要件は揃っていないと話していた。
投資の世界におけるバブルの専門家 ジェレミー・グランサム氏は以前、次の弱気相場がゆっくりと不完全に萎んでいくものになる可能性を口にしていた。

ドル危機を予想する人はそう多くはないが、変化を先取りしたがるピーター・シフ氏は以前から同予想を続けている。
一方、市場の条件反射はそう崩れないと見るのがジム・ロジャーズ氏で、次の危機では従来どおりドル高になると予想している。


ダリオ氏がドル危機を予想するのは、今後、米国債の需給が急激に悪化する可能性が高いからだ。
トランプ政権・共和党の減税・歳出拡大によって国債発行は今後高止まりする。
一方、FRBがバランスシート正常化を続けるなら、米国債の最大の買い手であったFRBがいっそう買い方を緩めることになる。

「もしも金利が上昇しすぎると・・・これは常に起こることで、借金を制限する働きをするのだが、これが経済の弱点になる。」

ダリオ氏の経済観は、信用創造が経済を成長させ、その変化が景気を循環させるというものだ。
その観点から言えば、市場が織り込む以上の金利上昇が経済を悪化させるのは当然なのだ。

これを防ぐために外国人に米国債を買ってもらうことになる。
しかし、ダリオ氏は、過度な金利上昇を防ぐほどには外国人投資家はついてこないと予想する。
ドル安による為替損のリスクを見ざるをえないからだ。
結局、そこでFRBの出番となってしまう。
そこでFRBは通貨を増発し、国債を買い入れマネタイゼーションを行うことになり、それがドルの減価を引き起こしうるのだという。

その期間では簡単に30%の減価ぐらい起こりうる。

ダリオ氏は政府の政策を批判する。
米国は世界一の準備通貨を擁し、自国通貨で資金調達ができるという特権を得ている。
それなのに、米国は過剰債務によってその特権を失うリスクを冒しているという。

投資家へのアドバイスを求められるとダリオ氏はこう話している。

投資家にはマーケット・タイミングを狙うアクティブ投資を行うかどうかの選択肢がある。
しかし、これはほとんどの人がうまくいかない。
・・・大切なことはポートフォリオをバランスするやり方を覚えることだ。

ダリオ氏は以前から一般の投資家に自社のオール・ウェザー・ファンドを参考にしてポートフォリオのバランスをとることを推奨している。
(参考: 【輪郭】上げ相場とリスク・パリティ戦略
バランスをとれとの推奨は5月にロバート・シラー教授からも示唆されている。


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