レイ・ダリオ:アップサイドは限定的だ

リーマン危機から10年目の週に著書『Big Debt Crises』を上梓したBridgewater AssociatesのRay Dalio氏が、景気・市場サイクルにおける現在の局面を語っている。
景気は後退期に近づきつつあるとして、ディフェンシブなポジションを奨めている。


私たちは(景気)サイクルの7イニングにいる。
金利が引き上げられる局面で、次の局面までおそらくまだ2年ぐらいある。

ダリオ氏はCNBCで語った。
次の景気後退期が再び債務危機となるなら、それはリーマン危機とは性質が異なるものになるという。
独特の特徴を帯びており、1935-40年とよく似たものになるだろうと予想した。

「1929-32年と2008-09年に米国は債務危機を迎え、両方で金利はゼロになり、これは100年で2回だけのことだ。
そこで同じこと、通貨増発と資産買入れが行われた。
両方のケースで中央銀行が資産価格を押し上げた。」

ダリオ氏は以前から、現状が1937年に似ていると話していた。
これは経済・市場にとどまるものではなく、社会・政治にまで及ぶ観察だった。


「景気は拡大し、市場は上昇し、特に格差が拡大した。
金融資産を持っていれば金持ちになれ、持っていなければなれなかったからだ。
現在の格差はその頃以来の大きさだ。
トップ0.1%の富がボトム90%の富と等しくなっており、これは1935-40年まで遡らなければ見られない。
結果、ポピュリズムの台頭が起こった。」

確かに定性的な現象は似ている。
そして1937年は金融引き締めへの転換点だった。
ダリオ氏は、金融引き締めを完璧に行うことはできないという。
だからこそ、金融引き締めの後、ほぼ毎回景気後退を迎えるのだ。

ダリオ氏は、次の景気後退期が異なるタイプの後退期になるという。
資金不足の年金・医療保険の問題が表面化し、それが経済・市場だけでなく社会・政治の問題を深めてしまうと心配する。

みんな用心しないといけない。
・・・
今のところ、リスク=リターンの関係は悪い状況にある。

金融・財政刺激策は同水準の効果をもたらす政策が継続しないかぎり次第に効果が剥落する。
今でこそまだ市場は順調だが、うまみも減っているという。

「株式の現金・債券との相対リターンの予想を割り引いてみると、適正水準のように見える。
しかし、アップサイドは少し限られている。」

アップサイドが限られているなら、リスクをとってキャピタル・ゲインを狙うのも分が悪いのかもしれない。
ダリオ氏はディフェンシブなスタンスをとっていると明言している。
そして、その度合いは強まっていくようだ。

しばらくは現状近くを推移するだろうが、時間が経つにつれてリスクは増えていく。


 - 海外経済, 投資 , ,