ゴールドマン:日本に金融政策正常化が来るならば・・・

ゴールドマン・サックスの太田知宏氏が日本の30年債利回りの「シャドウ・レート」を計算している。
ここで言う「シャドウ・レート」とは、ざっくり言って、金融緩和なかりせばの金利である。


シャドウ・レートという概念はオプションのブラック・ショールズ式で有名なフィッシャー・ブラックが癌に倒れながら書いた論文で提唱したものだ。
しかし、このシャドウ・レートとはゼロ金利制約なかりせばの金利を指す。
強力な金融緩和が行われた場合、それでも名目金利は高々小さなマイナス金利にしかならない。
しかし、もしもゼロ金利制約がなければもっと低下していたはずだ。
その金利のことである。

Bloomberg記事を読む限り、今回ゴールドマンが「シャドウ・レート」と呼んでいるのは異なる意味合いのようだ。
「現在の株式市場のプライシングに織り込まれている金利水準」とされている。
これはまた「非伝統的金融政策が終了する時に到達する長期金利水準ともとれる。」
さらに言えば、実際の金利とこの「シャドウ・レート」の差こそ「日銀の非伝統的金融政策の効果の指標」なのである。


太田氏は配当割引モデルの式を念頭に、超長期金利、配当先物、現在の株価指数の関係からシャドウ・レートを推計した。
それによると、足元で約0.8%の30年債利回りのシャドウ・レートは2.1%なのだという。
その差は1.3%となるが、これを解釈すればこうなる。

  • 日銀が金融政策正常化を終えれば、超長期(30年)金利は1.3%程度上昇する可能性がある。
    • より短い金利の上昇幅は大きくなかろうが、それでも財政は年々悪化していく。
    • 日銀のバランスシートが傷み、これを改善するために財政支出が必要になる可能性がある。
    • この効果は日銀の取引相手(市中銀行)に及び、その取引相手(貸出先)に及ぶ。
    • ただし、超長期で1.3%という上昇幅はすぐさま国家や経済の破綻を意味するようなものとは思えない点で救いがある。
    • 逆に、日本経済の潜在成長率が低位(≒2.1%)にとどまると市場は予想している。
  • 現在、投資家は年1.3%程度の金融抑圧を被っている。
    日本はそうそう金融政策を正常化できず(程度の差こそあれ)この状況はまだまだ長く続く。
    株・資産高による利益を守り抜ける一部の人を除けば、低金利で資産価格が上昇したことを喜ぶのは愚かなことだ。

異次元緩和のExitの波及効果はありとあらゆるところに及ぶ。
Bloombergは為替や海外資産への波及についても言及している。

30年債で少なくとも1%の利回り上昇は、国内投資家が海外に保有する2.4兆ドルの債務商品の一部を国内に戻すよう促すだろう。


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