ダン・ファス:スタグフレーションには打つ手がない

Loomis SaylesのDan Fuss副会長が、60年のキャリアで最もガードを上げている。
貿易戦争が景気をUターンさせる可能性があり、そうなればスタグフレーションのリスクも否定できないという。


「これは私の60年超におよぶ運用キャリアでも、またルーミス・セイレスでの42年半の運用キャリアでも、最も慎重なポジショニングだ。
何も世界はもう終わりだと言っているわけではない。
ただ、今は柔軟性を高めるのに適した時期だと考えている。」

ファス氏がReutersに語った旗艦(債券)ファンドのポートフォリオ変更とは2点。
通常は構成比2%とする現金等価物を35%まで拡大した。
もう1つは保有債券の格付けを引き上げた。
ポートフォリオの柔軟性を高めることで、強気・弱気いずれの環境変化にも対応できるのだという。

ファス氏は、現在のFRB利上げサイクルにおける利回りのピークを予想している。
10年債3.8-4.0%、30年債4.3-4.4%だという。

ファス氏の経済見通しは、ポートフォリオ変更の内容から窺われるとおり、ダウンサイドのリスクを多く見ている。
米国が仕掛ける貿易戦争は、現実に米企業の行動に変化を及ぼしつつあるという。

「事業会社の世界では、目先にトラブルの到来が見込まれる場合、一旦停止するというのが定石だ。
企業による発注キャンセルの動きが出始めれば、景気が方向転換するのに時間はかからない。
そして、その影響はレバレッジ効果を持ってレイオフなどを引き起こす。」


ファス氏は、業界での60年の経験から言って、経済の方向性はあっという間に変化すると警告している。
Bloombergに対しては「極めて重大な」スタグフレーションのリスクを語っている。

「貿易の制限がさらに強まっていけば、あきらかにスタグフレーション環境に入り込んでしまう。
そうなればFRBへの利上げプレッシャーが極めて高くなるため、FRBの最大の心配ごとは地政学的リスクなんだ。」

貿易摩擦によって国際貿易が縮小すれば、景気悪化要因となる。
各国が関税でやり合えば、これはインフレのタネになる。
単純に考えても、これら2つの要因がスタグフレーションのリスクを高めてしまう。

一たびインフレが始まってしまえば、止めるのはとてもとても難しい。
(米経済が悪化してしまえば)スタグフレーションに対処するいい方法はないんだ。

インフレ退治のために金融引き締めを行えば、景気後退が深刻化する。
景気対策のために刺激策を講じれば、インフレをさらに助長してしまう。
1970年代の苦境が繰り返されることになる。


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