JPモルガン:大流動性危機で迫られる2択

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JP Morganが2019年後半以降のリスク・シナリオとして「大流動性危機」を提示している。
その背景には、市場参加者の行動が機械的になっていく現状があるという。


この流動性主導の急落が(景気)サイクル終期に起こったり、あるいはサイクルの終焉をもたらしたりしたら、資産価格の調整と市場ボラティリティ増加はさらに大きくなるだろう。

JPモルガンのクォンツ責任者Marko Kolanovic氏が2008年の金融危機以降の市場環境の変化を懸念しているとCNBCが伝えている。
危機後の金融政策は市場のボラティリティを抑え込むように作用した。
それはまた、ひとたびボラティリティが急騰した時の市場下落を過酷にする。
この背景には市場参加者の行動様式が機械的になった点があるという。

「基本的に現在、極めて多くの投資家群が純粋に機械的な投資家になっている。
彼らはあるシグナルに応じて売り、そのシグナルは必ずしもファンダメンタルズの展開とは限らない。
・・・市場が2%下落すれば、彼らは売らざるをえない。」

何が市場を「機械」にしているのか。

  • 2兆ドルに及ぶアクティブ運用からパッシブ運用へのシフト
    アクティブ運用の減少は市場急落時の買い手を減らしてしまった。
    パッシブ運用は定義からして順張り投資であり、下落時は売り手にしかならない。
  • アルゴリズム売買
  • 相場が荒れると銀行・企業が流動性を引き上げ、さらに下げを過酷にしてしまう。

コラノビッチ氏は2019年後半以降のリスク・シナリオとして「大流動性危機」を挙げる。


突如として米国のすべての年金基金がひどく積み立て不足となり、小口投資家がパニック売りに走り、個人は支出をやめる。

こうなると悪しきサイクルを食い止めることが難しくなる。
コラノビッチ氏は、これまでの米政策のフレームワークでは十分でなくなるだろうという。

「おそらくさらに減税し、もしかしたら(税率)マイナスまで行くかもしれない。
一番ありそうなのは、中央銀行が資産価格(台風の目となっているなら、おそらく債券、クレジット、株式)への介入だろう。」

この危機は経済・市場を動かすだけではないという。
コラノビッチ氏は50年前の1968年と似た社会的緊張を生むだろうと予想する。
当時は経済的側面で言えば、インフレと金利が上昇を始める局面だった。
社会的側面では、ベトナム反戦、マーティン・ルーサー・キング牧師とロバート・ケネディ上院議員の暗殺などがあった時代だ。

米CPI(青)と長期金利(赤)
米CPI(青)と長期金利(赤)

コラノビッチ氏は、大流動性危機が起こってしまえば、各国は二者択一を迫られることになるという。
政策を総動員して市場を支えることで2008年以降に逆戻りする選択肢。
あるいは、同じことを繰り返さないという選択肢だ。

各国中央銀行が収拾しようとしなければ、不況、社会不安、さらに多くの壊滅的変化へのスパイラルに転落する。
それはリターンに極めて長い期間マイナス影響を及ぼすだろう。


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