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ジェフリー・フランケル:リーマン危機の轍を踏む
2018年8月30日

ハーバード大学ケネディ・スクールのJeffrey Frankel教授が、トランプ政権・共和党の循環増幅的な政策に危機感を呈している。
次の景気後退期、不必要に厳しい状況に陥らせかねないという。


「世界金融危機から10年目の記念日が近づいた今、そこに至った道筋を回顧すべきだ。
2003-07年、米政府は財政拡大と金融規制緩和を試みた。
そのアプローチはその時でさえ景気後退に対する政府の対応能力を制限する可能性が高いと考えられていた。
米国が現在の道を進み続ければ、歴史が繰り返しても誰も驚かないだろう。」

フランケル教授がProject Syndicateに書いている。
遅かれ早かれ景気後退は必ずやってくる。
それまでトランプ政権・共和党が現在の政策を続ければ、米経済の谷はいっそう深くなるだろうと警告している。
フランケル教授は景気拡大期になされた3つの循環増幅的な政策の問題を指摘している。

  • 財政拡大
    「景気改善の期間、少なくとも対GDP比で通常財政赤字は減少してきた。
    しかし、今、1960年代終わり以来、おそらく第2次大戦以来最も過激な景気増幅的な財政拡大がとられた。
    議会予算局によれば、連邦政府の財政赤字は急速に拡大し今年1兆ドルを超えるとされている。」
    景気後退がやってきた時、政権・与党にさらなる財政拡大の余地はどれだけ残っているだろうか。
  • マクロ・プルーデンス
    先の金融危機に対する反省から整備された金融規制を政権・与党はやみくもに撤廃・緩和している。
    「今こそサイクルの中でドット・フランク法制で求められた銀行の所要資本引き上げを行うべき時だ。
    (それで得られる)クッションは将来の銀行危機のリスクを最小化するはずだ。」
  • 金融政策
    FRBはよい仕事をしているが、その独立性が脅かされている。
    過去の景気後退期では、金融緩和のために5%程度の利下げ幅が必要だったが、現在のFF金利は1.75-2.00%しかない。

フランケル教授はトランプ大統領と共和党の奇妙な傾向を紹介する。

2010年、失業率がまだ9%超だった時(FRBを批判する人たちは)FRBの金融緩和を批判した。
今、失業率は4%を切っているが、トランプはFRB利上げが『気に入らない』と言っている。
これは、循環増幅的な金融政策を提唱しているのと同じことだ。

トランポノミクスはプロ・ビジネスの政策と言われる。
トランプ政権はビジネス・パーソンの政権だ。
そして、ビジネス・パーソンにはしばしば循環増幅的な心理・行動が見られる。
これが、本来なら経済安定化政策であったはずのものを不安定化政策に変質させているのかもしれない。


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