ジム・ロジャーズ:まず心配、次に準備

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ジム・ロジャーズ氏がくどく、くどく人生最悪の危機到来説を繰り返した。
いつか金利は高く上昇し、それとともに悲惨な弱気相場がやってくるのだという。


「少し前、世界に問題が起きて、米国の中央銀行が救済しようとして、少なくとも彼らはそう思って、金利を有史以来最低の水準まで押し下げた。
歴史上これほどの低金利はなかった。
いくつかの国では実質的にマイナス金利となった。」

ロジャーズ氏のサンフランシスコでの講演の様子をYahoo! Financeが伝えている。
先進各国の中央銀行が実施した非伝統的金融政策で金利はゼロ近傍、またはそれ以下まで押し下げられた。
このかつてない金融政策について、ロジャーズ氏は経済・市場の救済を意図したものと受け取っているが、実際に役立ったとは考えていない。
経済や投資に共通する原則の1つが教えるとおり《この世の中にフリー・ランチはない》からだ。
実際、FRBは後で請求される昼食代を知らないまま走り出していた。

「FRBの連銀総裁の何人かは、誰も聞いていない時に、これは実験だと言っていた。
彼らは、これがどう巻き戻すかわかっていなかった。
私は知っている。
いつかこのためにひどいつけを払うことになるんだ。」

ロジャーズ氏からすれば、先の金融危機を救った金融政策はよくて問題の先延ばしにすぎない。
それ以上先延ばしできなくなった時、つけがやってくる。

「金利はいつか最後には通常の水準、おそらく通常よりかなり高い水準にまで上昇するだろう。
それが起こる時、私たちはとてもとても甚大なつけを払わされることになる。
多くの企業・国家が苦しみ、いくつかは破綻するだろう。」

ロジャーズ氏は中央回帰を確信している。
金利は下がれば、いつか上がる。
相場も上がれば、いつか下がる。
さらに、山高ければ谷深しが市場の経験則だ。

私たちは(何年かに一度)常に弱気相場を迎えてきた。
次の弱気相場は私の人生で最悪のものになる。
・・・奇妙に聞こえたり、終末論に聞こえたりするかもしれないが、私は繰返したい。


前回の危機は過剰債務によるものだったが、その債務は2008年以来世界中でさらに拡大を続けてきた。
ロジャーズ氏は、今世界で起こっていることを「驚愕すべき」と表現している。

ロジャーズ氏が予想するのはとても悲惨な弱気相場だから、ほとんどの人は助からないだろうという。
しかし、同時に、すべての人が討ち死にするとも考えていない。
生き残る人はいるのだ。

「弱気相場を生き抜く方法はいくつもある。
巨万の富を弱気相場から守り抜いた人は存在する。
ウォール街の富の一部は、弱気相場を理解し、それを利用し、とてもうまく生き抜いた人たちによってもたらされたものだ。」

生き残るための方法とは何なのか。
この講演では、いつものように米ドル、中国旅行業、農業などのアイデアにも触れ、目下のリスク要因が晴れれば危機の前に最後のひと上げもありうると話した。
しかし、主眼はもう少し精神的な面に向けられていた。

まず、心配すること。
次に、どう準備すべきか勉強すること。

弱気相場が、危機が、やってくることを想定しない限り、本当にやってきた時に助かる可能性はほとんどない。
可能性を認め、どう対処すべきかを勉強するしかないようだ。

聴衆の1人から米中の対立について尋ねられると、ロジャーズ氏は歴史の厳しい現実を語った。

「新たに勃興する力と、既存の停滞した力がある時、歴史上ほとんどの場合ぶつかり合いがおこった。
不幸なことだが、それが歴史の示す現実だ。」

トゥキディデスの罠は現在の世界情勢にぴったりあてはまる。

「かつて債権国だったのに世界史上最大の債務国になった国がある。
だから、その国が停滞した覇権国なのだろう。
そして、アジアには新興勢力がある。」

経験則によれば、米中は極めて高い確率で対立し、高い確率で戦争に発展することになる。
ロジャーズ氏は、両国にとって対立をエスカレートさせる必要性は薄いと話している。

「米中が協力すれば、すばらしい、本当にすばらしいことができるだろうに。
ある程度はすでにやってきているんだ。」


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