ガンドラック:前例のない好景気だって?!

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米経済・市場の先行きについて人々の見方には幅があるが、足元の米経済が絶好調であるという点はコンセンサスのように見える。
ところが、新債券王ことDoubleline CapitalのJeffrey Gundlach氏は、この見方に異を唱えている。


前例のない好景気だって?!
それなら何でトランプ政権の初めの19か月の非農業部門就業者数増加数がオバマ政権の最後19か月より減ったんだ?

ガンドラック氏が25日ツイートした。
オバマ政権下、リーマン危機から経済は回復し、任期の終わり間際まで緩やかに非農業部門就業者数増は改善した。
しかし、2016年1月からのトランプ政権下、改善は足踏みしている。

米 非農業部門就業者数 前年同月比(千人)
米 非農業部門就業者数 前年同月比(千人)

ツイートは、ガンドラック氏らしい、権力・既得権益に対する厳しい見方が現れた発言だ。
経済とは誰のためのものか。
経済成長が加速しても就業者数拡大は減速した。
これはいくつもの疑問を投げかける。


  • 社会の分配が偏っているのではないか。
    経済成長の果実が労働者ではなく資本・ノウハウの持主に偏っているのではないか。
    経済成長とは誰のためのものなのか。
  • 排他的な移民政策が影響したものか。
    低コストな労働力の流入が細って、労働市場がタイト化したとすれば、なぜ賃金上昇は緩慢なのか。
    やはり、労働者に分配されにくい要因があるはず。
  • 自動化・AI化で労働者が必要とされなくなってきているのではないか。
    この解釈は、経済成長の分配のあり方について楽観をもたらさない。

極端な経済状況を除けば、投資家とは資本家であり、資本への分配増を喜ぶものだ。
しかし、投資家の中にもこの状況を単純に喜べない人が見受けられるようになった。

一方、純粋に投資の視点から考えるべきことは何だろう。
皆が熱狂する足元の好景気に寄与している一時要因の存在だろう。

  • 法人減税が大きく効いている。
    法人減税・投資減税は企業のボトム・ラインを目覚ましく改善したが、前年比としての効果は2年目以降は剥落せざるをえない。
  • 貿易戦争は、関税負担の回避のために一部輸出入を前倒しにさせている。
    これは、完全な先食いであり、反動が必ず来る。

洗練されたビジネス・パーソン、投資家はこうした点を知った上で経営・投資に臨んでいる。
しかし、そうでない人も少なくない。
さらに、こうした構造を知りながら、無知な人を煽る人もいる。
一時要因が剥落する時、企業や市場の心理はいくらか冷める。
祭りに参加するにしても、ここまで読んだ上で参加しないといけない。


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