テマセク:米銀を売却し決済サービスを増やす

シンガポールのソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)Temasek Holdingsが米SECに提出した6月末時点での四半期保有報告13Fが興味深い。
世界のSWFの中でも屈指の評価を受ける同社の動きが、米景気の先行きを暗示しているように見える。


まずはテマセクが第2四半期に保有を減らした銘柄を見てみよう。
米商業銀行・投資銀行がずらりと並ぶ。
(ただし、第1四半期末の報告書記載残高は182億ドル、銀行株減少分は32百万ドルと少額。)

テマセクの米証券投資の減少分
テマセクの米証券投資の減少分

近年、米銀株を保有するロジックとはなんだったろう。
金利、とりわけ長期金利の上昇であったはずだ。
ゼロ金利からの金利上昇は銀行が利ざやを得るのを容易にする。
それが長期金利上昇であれば、イールド・カーブはスティープ化し、銀行には長短スプレッドという余禄まで得られるかもしれない。

テマセクは第2四半期、米銀セクターを(全体からすれば少額とは言え)すべて売却している。
この理由は大きく2つ想像できる:


  • 米金利の上昇シナリオの確率が低下したと見ている。
  • 米銀のコスト増大を予想している。

これら2つの想像は相反しない。
テマセクが景気後退入りを予想している場合だ。
景気後退が近いなら金利上昇はさほど進まないし、長期金利はむしろ先行きの短期金利低下を見込むことになる。
景気後退が近いなら、商売にバランスシートを使っている金融機関には貸し倒れ損失やキャピタル・ロス等のコストが発生することになる。

次に増加分を見てみよう。
ここでは、決済サービス関連の銘柄が並んでいる。
しかも、金額規模も決して小さなものではない。

テマセクの米証券投資の増加分
テマセクの米証券投資の増加分
(2位は米銀でなくインドの銀行。)

テマセクは米銀から手を引き、決済サービスを増やした。
預貸金業務等への興味を失い、決済業務に興味を持っている。
利ざやへの興味を失い、フィー・ビジネスに興味を持っている。
こう勘ぐると、やはりテマセクは米景気後退入りを予想しているように見えてくるのである。


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