ピーター・シフ:10年の実質金利がマイナスに

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Euro Pacific CapitalのPeter Schiff氏が、米10年の実質金利がマイナスになっていることに腹を立てている。
インフレより低い金利に投資することの意味を投資家に問うている。


もしも消費者物価が年率2.9%で上昇するなら・・・
もしも政府が(10年国債を発行して)借金し、あなたに年2.85%の金利を支払うなら、これは何を意味するのか?

シフ氏がポットキャストで、米国における金融抑圧への注目を喚起している。
米国ではトランプ政権・共和党の財政政策とともに消費者物価の上昇が本格化している。
ところが、長期金利の方は上げ渋っているため、長期金利と消費者物価の間で再び逆転が起こっている。
ここをシフ氏は問題視している。
政府・中央銀行が人為的に作ったインフレが、投資家に経済的損失を与えていると指摘している。

米CPI上昇率(青:総合、赤:コア)と10年債利回り(緑)
米CPI上昇率(青:総合、赤:コア)と10年債利回り(緑)


「(インフレ要因を除いた)実質ベースで、あなたは損をすることになる。
金利がドルの国内購買力の年あたり減価分さえ稼いでくれないからだ。
政府に(10年)お金を貸すと10年間は元金が戻ってこないが、毎年政府が支払う金利はあなたが失う購買力の金額さえ打ち消せないんだ。」

さらに、消費者物価は不変ではないが債券から得られるリターンは不変である点を指摘する。
シフ氏はドル崩壊やスタグフレーションを予想しているとおり、インフレ昂進が続くとの立場に立っている。
インフレが進むにつれ、実質利回りはさらに低下すると予想している。
その上、投資課税が追い打ちをかける。
リターンは課税され受取額が減殺されるが、インフレによる減価は減殺されないからだ。

立場を変えれば、この状況が好ましいと考える人たちもいる。
FRBからすれば、もう2年半以上も金融政策を正常化してきたのに、いまだに10年の実質金利がマイナス圏にあることになる。
(インフレをコア指数にするとプラス圏だが、現実のインフレは総合指数で見るべきだろう。)
これは金融政策がまだ緩和的であることを示唆する。
これこそリフレ政策をとる中央銀行が物価上昇を望んできた最大の理由なのだ。

しかし、シフ氏からすれば、こうしたことが意図して行われていることが許せない、となる。
まさに、債券投資家に対する《抑圧》そのものなのである。

日本の場合、イールド・カーブ・コントロールで10年金利をゼロ近傍にしているから、当然実質金利もマイナス圏にある。
債券投資家の視点からすれば厄介な状況だ。
せめてもの救いは、インフレがほとんど進まず、金利もほぼゼロなのでほとんど課税されないということだろうか。


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