ピーター・シフ:次の危機にケインジアンは敗北する

Euro Pacific CapitalのPeter Schiff氏が、本当に厳しいテール・リスクを指摘し、そのテール・リスクの実現を予想している。
米当局や市場は近い過去にとらわれ本当のリスクに気づいていないという。


FRBが恐れているのは2008年の金融危機の再来だ。
彼らは、次の危機がそうした危機ではないことを理解していない。

シフ氏がポッド・キャストで指摘した。
この無理解から、FRBによる米銀に対するストレス・テストも「パスさせる」だけのプロセスになってしまっているという。
そこで想定されているシナリオは、不況が来てデフレ方向に戻るというもの。
インフレが低下し、金利が低下するシナリオが想定されている。

シフ氏は、低インフレ・低金利など本当の危機ではないという。
なぜ1970年代のように高インフレ・高金利を想定しないのか。
本当の危機とはスタグフレーションではないのかと問うている。

2008年の金融危機の間、米ドルは上昇した。
だから、彼らは政策を実行できたんだ。
しかし、次の危機ではドルは下がるだろう。
ドルが下がり、インフレが上昇すれば、FRBは何もできなくなる。
財務省は次の景気後退期、増税・歳出削減に追い込まれるだろう。


問題は通貨の信認だ。
ドルという通貨は基軸通貨・準備通貨とも呼ばれるとおり、世界屈指の信認を得ている通貨だ。
危機が起こった時に、そのドルが売られるのか買われるのか。
これまでは買われてきた。
仮に、売られるようになれば、米国からの資金逃避が深刻な懸念となる。
どんなにインフレが進もうが、経済が停滞しようが、軽々に金融緩和を行うことはできなくなる。
インフレ退治は財政サイドでしかできなくなるが、財政健全化もまた景気には(短期的には)悪影響を及ぼす。

まさに、ケインジアンが手足をもがれるような状況をシフ氏は想定している。
(もっともケインジアンはそれにひるむことなく、さらに度を越したことをやろうとするだろう。)
シフ氏はケインジアンを嗤う。

「ケインジアンの多くはジョン・サミュエルソンの方を向いているようだ。
彼は教科書を書き、1967年に書かれたばかげた教科書をみんないまだに使っている。」

シフ氏の認知に強いバイアスがかかっているのは間違いない。
しかし、この人の知性は実務家の域をはるかに超えている。
この後、ケインジアンとオーストリア学派の前提とロジック、愚かな政治家の行動パターンをいつもの通りすらすらとよどみなく語っている。
すべてを理解した上で、バイアスのかかったポジションをとっているのだ。

信念の人だから、バイアスのかかった予想を100年でも言い続けるだろう。
その予想は肩書だけのエコノミストらとは異なり、大予言とでも言うような大きな転換点を言い当てようとする。
だから通常は当たらないのだが、100年に一度は当たるだろう。
もしかしたら10年に一度ぐらいかするかもしれない。
だから恐ろしい。


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