海外経済

ジョン・メイナード・ケインズ 【メモ】ケインズのバンコール構想
2018年8月6日

貿易不均衡解消のしくみ

では、ケインズ案の下で貿易の不均衡が発生した場合、どのように是正されるのだろうか。


「バンコールが清算勘定の上限を超えると、赤字国は為替レートを切り下げ、黒字国は切り上げなければならない。
そうすれば赤字国の商品は安くなり、黒字国の商品は高くなるから、貿易の再調整が促進される。
それでも状況が改善されない場合は、強制策がとられる。
慢性的な債務国は強制的な通貨切り下げ、ICB準備基金への利払いの増加、強制的な金の売却、資本輸出の制限を義務づけられる。
一方、慢性的な債権国は為替レート切り上げのほかに、超過黒字に対して最低五パーセントから 最大で10パーセントの利子払いをICB準備基金に対して義務づけられる。」

ケインズは決して強制策が発動されると考えていたわけではない。
こうしたルールを設けることで、黒字国・赤字国が自主的に個々のアクションを採ると考えたのだ。

さて、当時は輸出国だった米国だが、ケインズ案を即座に拒絶している。
この国は、立場によってコロコロ態度を変える。
今は、かつての英国以上に過激な要求を黒字国に吹っ掛けているように見える。

貿易摩擦は解消するか

では、貿易不均衡の解決とはどこに着地点があるのか。
まず、ドル安誘導についてはピンとこない。
米国は長らく《強いドルは国益》と言ってきたからだ。
緩やかなドル安ならばまだしも、米経常赤字を解消するような規模となると誰も望むまい。
資本規制? 想像できないほどありそうにない。

なぜ解決策が見えないかと言えば、総合的な国力において依然として米国が他国を突き放しているからだろう。
基軸通貨国の経常赤字とは、基軸通貨の交代なくしてはなかなか解消しないのかもしれない。
その交代とは、新たな強国がかつての強国をしのぐようにならないと実現しない。


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