ジョン・メイナード・ケインズ

 

【メモ】ケインズのバンコール構想

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米中貿易摩擦、日米新通商協議が市場の最大のリスクとして居座っている。
大昔からたいして変わっていないこの問題について、ブレトンウッズ体制の確立期にさかのぼって復習しておこう。


1944年に締結されたブレトン・ウッズ協定は1971年のニクソンショックまで続いたが、この協定の重要な要素となったのがIMFだ。
このIMFについては英ジョン・メイナード・ケインズと米ハリー・ホワイトがそれぞれ案を出したが、最終的にはホワイト案を多く取り入れて決着した。
興味深いのは、衰退著しい英国と日の出の勢いの輸出国だった米国の対立だ。
ケインズは凋落しつつある英国側を代表しつつ、いわゆるバンコール構想を提案している。
その内容を
ベン・ステイル, 『ブレトンウッズの闘い ケインズ、ホワイトと新世界秩序の創造』から引用しよう。


ケインズのバンコール構想

「国際取引は新たに創設される国際清算銀行(ICB)によって決済される。
・・・各国通貨の売買はICBに設けられた 「清算勘定」を通じて行われ、新しく創造される「銀行貨幣」(注:バンコール)によって取引は記帳される。
・・・バンコールは各加盟国の通貨ならびに金に対して価値が固定される。」

バンコールという国際決済通貨を作り、貿易等の決済をバンコールで行わせるというアイデアだ。
輸出すればバンコールを受け取り、輸入すれば支払うことになる。

「輸出が輸入を上回ることで蓄積されるバンコールと、輸入が輸出を上回ることで失われるバンコールには、どちらも上限が設けられる。
こうすれば過剰な黒字や赤字が防止できるという発想である。
この上限は各国の世界貿易に占めるシェアに比例してそれぞれ決められる。」

こうして貿易赤字のみならず貿易黒字に対しても上限を設けようというのだ。
ケインズは凋落する英国の側にいた。
だから、今の米国と同じく、貿易黒字国にも責任を負わせようとするのは自然なことだった。
(もっとも、今の米国は貿易黒字国にだけ責任が存在するような立場をとっている。)
ケインズのアイデアは、両者が貿易不均衡に責任を負うという意味でフェアと言えるのだろう。

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