浜田宏一教授と岩村充教授の異次元対談

日経電子版にイェール大学 浜田宏一教授と早稲田大学 岩村充教授の対談が載っている。
現実にとらわれない学者の議論には、時々、上下左右がひっくり返ったような感覚を覚える。


内閣参与も務める浜田教授は記事中「アベノミクスの生みの親」と紹介されるとおり、公然と金融緩和による円安誘導を唱えてきた人物だ。
岩村教授は記事中「日銀出身で量的緩和に否定的」と紹介されているが、過去の言動から見てこの紹介も妥当なものだろう。
その2人が日銀の物価目標について語ったのがこうだ:

岩村教授:

旗を掲げてしまった以上は、旗を下ろすとなると影響が大きい。
なぜCPIが動かないのか、それが確認できないままで物価目標を取り下げるべきではない。

浜田教授:

誰も物価が上がることは望んではいないので、失業率が改善すれば物価目標にはこだわらなくてもいいと昔から思っている。


賛成・反対派の交錯

ステレオタイプに岩村教授を《反 異次元緩和》、浜田教授を《親 異次元緩和》と見れば、なんとも逆転した響きがある。
岩村教授が不測の影響を心配して軽々に動くべきでないと指摘するのは理解できる。
しかし、CPIが動かない理由が確認できないうちは物価目標を取り下げるべきでないというなら、それはバランスを欠いた意見のように思える。
CPIが動かない理由を確認するには数十年の時間がかかるだろうから、教授の意見を受け入れれば、その間物価目標を取り下げることはできなくなる。
経済は常に変化し、時に大きく変化するから、そのような厳しい要件を課すべきではなかろう。

一方、浜田教授が物価目標にこだわらないというのは(「昔から」かどうかはわからないが)昨年あたりから明言されていたことだ。
物価は最終目標ではなく、雇用など経済の回復のための2次的な目標というものだ。
言い換えれば、2%インフレが経済回復の必須条件ではないとの考えになる。
実際、教授は「日本は需要不足が終わった」と見ており、「需要を刺激する『第一の矢』から、成長戦略の『第三の矢』に移るべきだという議論にも一理ある」と話している。

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