ビル・グロス:見方は変えないが・・・

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債券王ビル・グロス氏の苦闘が続いている。
米・独国債のヘッジ・ポートフォリオが裏目に出て、パフォーマンス悪化・資金流出が続いている。


「今期間の低パフォーマンスは、独国債ポジショニングによるものに集約される。
独国債と米国債の(利回り)乖離が2国間の経済ファンダメンタルズに見合わないとの考えから、独国債利回り上昇による潜在的収れんの恩恵を狙う方向でポジションを組んでいた。」

債券王が運用を担当するJunus Henderson Global Unconstrained Bond Fundの第2四半期コメンタリーで敗因を語っている。
同ファンドの不調が世間を驚かせたのは5月終わり。
1日で3%近く下落、年初来でも5.9%の下落となったことが明らかになったのだ。
アンコンストレインドとは言え債券ファンドだ。
1日で3%という下落幅が皆を驚かせた。

債券でこれほど大きな損失を出したのは、グロス氏がロング/ショートのヘッジ・ポートフォリオを組んでいたためだ。
グロス氏は、独国債について利回りが過小(=価格が過大)であると考えている。


「年前半の経済データ軟化があったものの、独国債が7年までマイナスになる根拠は薄いと信じている。
・・・欧州はポピュリズムの脅威を受け続け、成長志向の構造改革に対する政治家の意思もはっきりしないが、私たちは、概して欧州経済が債務危機を脱し再興の段階に入ったと考えている。」

こうした見方から、グロス氏は、独国債利回りが直に上昇に向かうと考えている。
一方、米国債については、利回り上昇が限定的と読んでいた。

「米国は労働市場が極めてタイトであり、貿易戦争の亡霊が新たな成長の源泉を奪ってしまうため、経済加速が難しいはずだ。」

米市場については当たっているように見えるが、独市場は理屈通りにはならなかった。
いや、それどころか、大きく逆に振れたのである。

「独国債利回りは年初に上昇したが、地域の政治の展開を嫌って投資家が安全を求めたため、利回りは急落した。
独国債下落に収れんするとの戦略に用いた証券が大きく(価格)上昇したため、損失を計上することとなった。」

グロス氏は米・独利回りが収れんに向かうとの見方を変えたわけではない。
ただ、リスク・オフの独利回り低下の可能性を認め、ポジションを小さくしたと明らかにしている。


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