ジェレミー・シーゲル:好況は続くが株価は鈍化へ

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ウォートンの魔術師Jeremy Siegel教授がウォートン・スクールのオンライン・ジャーナルのインタビューに応じている。
いつもより少々理屈っぽい解説から、この学者の本来の姿が垣間見える。


「株式市場の主たる試練は引き続きFRB利上げだと考えている。
次が、今後時間が経つにしたがいトランプが直面するであろう政治的試練だ。
・・・そして2019年の見通しだ。」

シーゲル教授が米市場を待ち構える試練を3つ挙げている。
教授はこれまでも一貫して金利の長期的循環を重視してきた。
その次の懸念が中間選挙だ。
民主党が議会を支配すれば、プロ・ビジネスの政策が逆回転を始めかねない。
教授は中間選挙について、圧倒的とは言わないまでも依然として民主党有利が続いていると予想する。
さらに、政治と言えば、貿易戦争の脅威も顕在化しつつある。

2019年業績予想は下方修正へ

シーゲル教授は、2019年の企業業績について市場の期待が行き過ぎていると心配する。
2018年は大幅な法人減税があるから、大幅(税引後)増益が当たり前だ。
しかし、法人減税による増益率は翌年以降は消えてしまう。
それどころか、償却前倒しの反動などが予想される。


2019年については予想されている改善が大きすぎる。
今年後半にはアナリストは2019年見通しを一部下方修正することになろう。
それが株式市場を圧迫する。

シーゲル教授は2019年が「悲惨な年」とは言わないが「すばらしい年」にもならないと言う。

自社株買いの幻想

シーゲル教授は、自社株買いを見込んだ上昇期待も幻想にすぎないと斬って捨てている。

「自社株買いは時価総額の2.5%程度でしかない。
つまり、最大でも2.5%程度しか上がらないということだ。
2017年の株価上昇は約20%だ。
損益の前年比の方が自社株買いより圧倒的に重要だ。」

ここでシーゲル教授は1980年から自社株買いがさかんになった要因をレクチャーしている。

  • 規制緩和により自社株買いがやりやすくなった。
  • 配当を出せば課税されてしまうが、自社株買いなら投資家が売らない限り課税しなくていい。
  • 経営者・従業員のストック・オプションが増えるにしたがい、株価上昇につながる自社株買いが好まれるようになった。

その上で、自社株買いが株価に及ぼす効果について結論している。

「自社株買いの重要性を過大視すべきでない。
これは株式リターンの単なる1つの要素でしかない。
企業収益、金利等の方が自社株買いより株価を上げ下げする大きな要因だ。」

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