ジェレミー・シーゲル:米国株に割高感はない

ウォートンの魔術師Jeremy Siegel教授が、6日発表の米雇用統計についてコメントした。
米経済・市場が拡大を継続する望みが見えてきたという。


「私はまだまだ慎重だ。
でも、金曜日には勇気づけられた。」

シーゲル教授がCNBCで語った。
かつては《永遠のブル》と呼ばれた教授も、昨年末頃から見通しを弱気寄りへとシフトさせている。
《永遠のブル》をもたらした一因は、長期的な金利低下局面だった。
《永遠》に続くと思われた金利低下も底を打ち、逆に上昇に転じる気配が見えると、教授の見方は大きく変化した。
何ごとも《永遠》ではなかったのだ。
そこに一筋の光が差した。

「金曜日の雇用統計はすばらしいものだった。
大ヒットだ。
強い雇用拡大、労働参加率の上昇、失業圧力の低下だった。」

6日発表の6月の米雇用統計は

  • 非農業部門就業者数: 前月比213千人増(市場予想は195千人増)
  • 失業率: 4.0%(前月比0.2%ポイント悪化、市場予想は3.8%)
  • 平均賃金の伸び: 前月比0.2%(前月ならびに市場予想は0.3%)、前年同月比2.7%(前月は2.8%)

失業率こそ悪化したものの、これは労働参加率が上昇したものだ。
6日(金)と9日(月)の米市場の上昇について、シーゲル教授は雇用統計を好感したものと解説している。

この雇用統計が意味するのはFRB利上げが今年4回にならない可能性、労働力の供給を絞ることなくすむ可能性を示している。
・・・CNBCが就業者数増に注目しているのは承知しているが、もっと重要なのは労働参加率、何人の人が労働力になっているかだ。


6月には失業率を悪化させた労働参加率の上昇だが、これも長い目で見れば、今後の経済成長に必須の変化なのだ。
すでに完全雇用に近いと見られる米経済で、就業者数が増え失業率が低下すれば、労働市場は逼迫してしまう。
労働市場が逼迫すれば賃金上昇が速まり、やがてはインフレに転化する。
そうなればFRBは金融引き締めに動かざるをえなくなり、場合によっては経済成長をオーバーキルしてしまう。
これは、米経済循環の常道である。

「経済は、これまで労働力となっていなかった人たちが労働力になり、(労働市場逼迫の)圧力を解いてくれることを必要としている。
そうすれば、FRB利上げが行き過ぎることなく、経済成長率が高まる。」

こうした明るい材料もあって、シーゲル教授は米株価が合理的水準にあると説く。

「2018年の企業収益をベースにするとPERは17.5倍だ。
低金利の世界で、FRBが利上げしているとは言え、これはとてもリズナブルな水準だ。
何人かの人が予想するような2019年の大幅増益については信じていないが、現在の市場が大きく割高ということは決してない。」

一方で、シーゲル教授は従前から、貿易戦争を主たるリスクの1つに挙げている。
多くの人が同意見のように思われるのに、教授によれば市場の織り込みはわずか10%程度にすぎないという。
仮にエスカレートを続ければ、大きなダウンサイド・リスクになるとコメントした。

「ドナルド・トランプほど株式市場の上昇を喜んでツイートした大統領はいない。
株式市場上昇を楽しみ続けたいなら、貿易戦争などできないはずだ。」


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