ロバート・シラー:米住宅は2012年から過熱を継続

執筆:

資産価格の実証的研究で2013年ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授が、米住宅市場の現状を解説している。
油断はできないものの、まだ前回の住宅バブルとは多くの点で相違が見られるという。


「米住宅市場は6年連続の上昇を始めた2012年以降、加熱しているように見える。
しかも、まだ上がり続けているようだ。」

シラー教授がYahoo Financeで米住宅市場の過熱感を指摘した。
2012年以降、S&P CoreLogic Case-Shiller指数が年率6%を超えるスピードで上昇を続けている点を心配している。
つまり、米住宅市場はもう6年間も過熱感を保っているのだ。

S&Pケース・シラー20都市住宅価格指数
S&Pケース・シラー20都市住宅価格指数

ここで気になるのは、同指数がサブプライム危機前の2006年のピークを抜いた点だろう。
しかし、シラー教授は早合点すべきでないと話す。
住宅価格もモノの値段である以上、他の物価と比較して論じるべきだからだ。

「名目ベースではピークだった2006年を超えているが、実質ベースでは2006年のピークよりまだだいぶ下にある。
市場はまだ同じ熱狂までには至っていない。」

実質ベースのS&Pケース・シラー20都市住宅価格指数(2006年7月=100)
実質ベースのS&Pケース・シラー20都市住宅価格指数(2006年7月=100)


シラー教授は、住宅バブル崩壊がやってくると決めつけてはいけないという。
まだ「近づいているところ」とし、再び起こる可能性を否定しないものの、決まった運命でもない理由をいくつか挙げている:

  • 実質ベースで過去のピークまでまだある。
  • 前の危機の頃ほどには期待が過大ではない。
  • 貸し手はより慎重になっている。
  • 証券化もさほど多くない。

前回の住宅危機バブルでは市場のばかげた行動がバブルの特徴を満たしていた。

「前の危機の時には、ファイナンスのちゃんとした概念だった証券化だけでなく、証券化商品に対する不適切な格付や、時にはセキュリタイザーの非協力的な振る舞いさえあった。
・・・今はそれほど証券化が背中を押しているようには見えない。
背中を押しているのは国内の楽観論だろう。
一つにはドナルド・トランプだろうし、一つには持ち家が見直されているためだ。」

シラー教授は、総じて米経済が恵まれた状況にあると評価している。
失業率は3.8%と極めて低いのに、賃金上昇はインフレを昂進させるほどではないからだ。
教授は遠い昔、まだ物価上昇が悪だった頃と現在を比較している。

「かつて30年前、人々を恐れさせた賃金-物価スパイラルという現象があった。
今ではほとんど働いていないように見える。
・・・大きな労働市場の反応なしに(低インフレが)実現している。」

失業を招くことなくインフレが抑えられている点をプラスに見ているのだ。
教授は、賃金-物価スパイラルが起こらない一因として労働組合の弱体化にも言及している。
だから、これに対する評価には少し戸惑いも見える。

「たぶんこれはいいことなのだろう。
どれだけ続くかに注目したい。」


 - 海外経済, 投資 , ,