サマーズ:リスクはFRBの金融引き締め

ローレンス・サマーズ元財務長官(現ハーバード大学教授)が、FRBの金融政策に対し懸念を示した。
多少のインフレは許容し、引き締めすぎで景気後退を招くことのないよう注文をつけた。


リスクは依然としてインフレ昂進よりも景気減速の側にある。
米国はまだ2%物価目標を堅い形で達成したわけではない。
だから、FRBが金融緩和を続けても深刻な心配とはならない。
もしも、心配があるとすれば、FRBの金融政策が引き締めすぎになることだ。

サマーズ氏がBloombergの電話インタビューで話した。
リベラル派の重鎮の考えは揺るがない。
金融・財政政策へのハト派的スタンス。
かといって、反トランプ・反共和党は譲れない。
しかし、金融政策においては、サマーズ氏と政権の思いは結果において似たものとなっている。

FRBの利上げ回数予想を尋ねられると、サマーズ氏は自身の扱う範囲ではないと答え、より重要な課題を提示している。

「もっと大きな問題は(FRBの)金融政策が


  • フィリップス曲線に頼りインフレを予防しようとする戦略
  • 経済を可能な限り成長させ、インフレの問題が高まるにしたがいそれに対処する戦略

のいずれであるかだ。」

つまり、FRBはインフレ昂進を予防すべきか、それともある程度許容すべきかとの選択である。
先の答どおり、サマーズ氏の回答は明確だ。

「9年間、物価目標を達成できていなかったことを考えても、私は後者の方がはるかにいいと思う。」

サマーズ氏は最近のインタビューで、今後の金融政策の最優先事項を健全な成長と良好な雇用と答えている。
現状のまま多少の金融政策正常化を継続したところで、次の景気後退がやってくれば、金融緩和に回帰せざるをえなくなる。
しかし、中立金利も政策金利も歴史的に見てかなり低い状況を見れば、景気後退に対して金融緩和がやれることは少ない。
深刻な不況を招くぐらいなら、インフレを許容する方がましとの考えだ。

こうしたハト派的な考えは、パウエル議長率いるFRBの現状のスタンスと同期したものではないだろう。
FRBはもう少しタカ派的であり、だからこそサマーズ氏が懸念を述べているわけだ。
仮にサマーズ氏の引き締めすぎとの見立てが正しいなら、実体経済以上に敏感に反応する金融市場でもよからぬことが起こるのだろう。


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