白井さゆり:家計はデフレ心理でなくインフレ心理

元日銀審議委員 白井さゆり慶應義塾大学教授が、家計のインフレ・マインドと日銀の金融政策についてコメントしている。
日本の低インフレは構造問題であり、金融政策で対応すべきではないという。


「日銀は他の中央銀行と比べても相当(強力)な金融緩和をやっている。
量も種類もできる限りのことをしているが、物価の基調は弱いままという印象だ。」

白井教授が22日のテレビ東京番組で話した。
年初に上昇するかに見えた日本の物価だったが、その後再び低下している。
教授はこの一時的な上昇について食料・原油の影響と分析する。
いずれにせよ、コスト・プッシュのインフレは「産業にとって望ましくない」のだから、喜ぶべき話ではなかったようだ。

日本はデフレ・マインドでなくインフレ・マインド

日本の物価が上がらない。
FRBが2%を達成し、ECBも達成に自信を見せているが、日銀は2%から遠ざかるばかりだ。
黒田総裁は会見で「終身雇用や根強いデフレ心理」を理由に挙げている。
しかし、白井教授は、デフレ心理ではなく「インフレ・マインド」ではないかと指摘する。


日銀と国民の間で認識にずれがある。
国民には足元の物価が常に上がっている・高いと感じる傾向がある。
将来的にも物価はこれから上がっていくと答えている。
つまり、インフレ・マインドだ。

インフレを予想するから値上げを歓迎できない。
この傾向は高齢化が進むにしたがい当然のことに強くなる。
消費者が値上げに対し強い拒絶感を持っているから、供給する側の企業も値上げに踏み切れない。

生活の苦しさと物価上昇が混同されている

「賃金が上がらない中で社会保険料が上がっており、食料の値段も上がっていて、生活が苦しいと感じることを物価が高いと感じてしまう傾向がある。
実際の物価上昇より家計が感じる物価上昇ははるかに高い。
これが構造的な理由だから、金融緩和で物価を上げようとしても、社会的にも難しい。」

政府は消費増税の先送りの裏で、静かに社会保険料の引き上げを行った。
右のポケットに入れるお金を増やすのは政治的にできないから、左のポケットに入れるお金を増やそうというわけだ。
しかし、取られる側の家計(全体)の負担は同じだ。
しかも、こうしたやり方は、収入と支出の内訳が簡単な年金世帯ほど強く意識されてしまうだろう。

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