ピーター・シフ:地球を飲み込むインフレの波

執筆:

Euro Pacific CapitalのPeter Schiff氏が、米経済について弱気の見方を示した。
インフレが経済に悪影響を与える兆候が見え、インフレの問題は世界を飲み込むだろうと予想している。


FRBが引き締めを継続でき、米経済は良好なまま、米市場も良好なままと考えるのは間違いだ。
インフレの問題がある。

シフ氏がポッドキャストで、米経済に弱気の見方を語った。
同氏は従前から、好調な米経済はみせかけにすぎないと主張している。
シフ氏はこの日、輸入物価と小売売上高に注目した。

「昨日発表された輸入物価は前年比4.3%で、これは関税実施前の数字だ。
私たちは輸入品を買わねばならないから、輸入品が入って来る。」

前年比4.3%の輸入物価上昇は輸入への依存度の高い米社会には大きなインフレ要因だろう。
また、品目が限定的とは言え、税率25%にのぼる輸入関税はさらに追い打ちをかけるだろう。
インフレは米国の家計にどう影響を与えるのだろう。

「同じく昨日発表された最新月の小売売上高は0.8%と事前予想よりはるかに高かった。
これに対する当初の反応はすばらしいニュースというものだったが、小売売上高はインフレ調整されていないことを忘れてはいけない。
これは単に売れたドル金額を測ったものだ。
私は、この上昇が消費者の購買の増加によるものとは考えていない。
価格が上昇したために、購入したものに対して多くのお金を払ったためだ。」

シフ氏はこの小売売上高を「インフレの証拠」と話している。
ある定義ではインフレはすでに進行している。


「マネー・サプライがそうであり、QEがそうだ。
通貨発行と債券買入れこそがインフレなんだ。
今それが金融資産、株式、債券、不動産から消費者物価に移りつつある。」

金融緩和が価格に及ぼす効果はもちろん押し上げである。
しかし、その対象によって効果の発揮されるタイミングは異なる。
金融資産は金融緩和への感度が高くすぐに反応する。
対して消費者物価での発現には時間がかかる。
米市場が9年ほど上昇して、ようやく今度は消費者物価が2%を超えてきた。

これは巨大なインフレの波の始まりであり、地球全体を飲み込むだろう。

シフ氏はインフレの時代の到来を予想する。
ただし、地域によってその程度は異なるという。
米国では、FRBがトランプ大統領からの強い圧力にさらされると予想している。

「FRBはすべてを上昇させ、インフレと戦わず、さらなるインフレを許容するよう大きな政治的圧力を受けるだろう。
FRBは2%超のインフレを許容することで、すでにこのことを公言している。」

この状況は米国が抱える「絶望的な債務」によってさらに深刻になる。
「米国はインフレを必要としている」が、インフレ上昇は金利上昇を意味する。
ところが、高金利を許容してしまえば、政府債務の持続可能性が疑われる状況になりかねない。

シフ氏はユーロ圏についてもコメントしている。
いくつかの国の問題を認めながらも、全体としては米国より望ましい状況にあるという。

「欧州は独中央銀行の影響によってインフレと戦う可能性が比較的高い。
・・・ユーロ圏は(米国より)高い金利に耐えられる。」


 - 海外経済